プロジェクトマネジメントは世界中で共通したマネジメントの知識です。システム開発や建設現場、製造工程など幅広い業界で使われている知識です。
また社内横断プロジェクトやイベントなど職種によらない応用ができるモノです。
加えて、プロジェクトマネジメントやその役職であるプロジェクトマネージャーは今後、ますます需要が増えると予想されています。
プロジェクトマネジメントの国際資格を発行しているPMI(プロジェクトマネジメント協会)が出した試算では「2030年までに新たに2500万人のPMが必要」と言われています。
さらにプロジェクトマネジメントはグローバルスタンダードな知識です。
シリコンバレーのIT企業でも導入されているところは多いですし、海外進出している日本法人でも採用している会社は多いです。
そして就職も変わります。試しに「プロジェクトマネージャー 求人」で検索してみてください。
かなりの好待遇に驚くかもしれません。
今回はそんなプロジェクトマネジメントを学ぶと”どんなメリット”があるかについてご説明します。
私自身、プロジェクトマネジメント学んだことで大きな成長を実感しました。ぜひあなたにもプロジェクトマネジメントを学習する良さを実感していただければうれしいです。
この記事を最後までお読みいただくとあなたは以下の3つが分かります。
- そもそもプロジェクトマネジメントが何かを歴史的な背景も含めて理解できる
- どうすればプロジェクトマネ―ジャーになれるのが分かる
- プロジェクトマネジメントを学習するためにはどうすればいいのかが分かる
なぜなら・・・
- マネジメント経験が無くても学習できる
- 世界標準な知識が手に入る
- 海外も含めた転職が有利になる
つまり私が言いたいことはずばり・・・
プロジェクトマネジメントを学ぶなら今がチャンス!ということ。
なぜなら・・・
- プロジェクトマネジメントのニーズは今後増えるから
- プロジェクトマネジメントは世界標準の知識だから
- プロジェクトマネジメントを学ぶと就職が有利になるから
です。それではいきましょう。
プロジェクトマネジメントを学ぶメリット
プロジェクトマネジメントに興味を持ったきっかけ
そうは言っても「色々メリットは分かったけど今じゃなくていいんじゃない?」とか「いずれステップアップすれば身につくんじゃないの?」と思われた方もおられるのではないでしょうか?
私自身ももちろんその一人でした。ただいざマネジメントになったら何も出来ない自分に気が付いて「何とかしないとヤバイ・・・」と思って挑戦してみたら効果があったのでこの記事にしています。
なので、まず最初に「そもそも私がなんでプロジェクトマネジメントを勉強しようと思い、そして記事にしようと思ったか」をお伝えします。
現在私はIT企業の新規事業立ち上げを任せてもらっています。決して大きな会社ではないので、業務フローやテンプレート、教育体制・・・etcはありません。
正直なところ、今の会社で働き始めた当初は「本から学べる知識なんて使えない!自分は経験の中で学んでいくんだ!」と考えていました。
それまでも多少なりとも人を率いる経験もあったし何とかなるだろうと思っていました。
しかし仕事で会社やビジネスの枠組みの中で組織を動かしていくためには、必要な知識が不足しすぎていました。
経験の中で学ぶといっても知らな過ぎて何からはじめたらいいかわからなかったのです。
全体の計画もできないし、メンバーのタスクも切れない、進捗がどうなっているのかもわからない・・・八方ふさがりでした。
そこで最初は色々試したのですが、なかなかうまくいかず、最終的には全部、諦めて片っ端から学んでやる!と決めてひたすらプロジェクトマネジメントに関する書籍を読み漁りました。
延べ85冊となりました(書籍紹介記事)。
ここで書籍にたどり着く前に周囲のマネジメントの人に聞いてみたりもしましたがあまりうまくいきませんでした。
結果は・・・みなさん全く異なるアドバイスをくださいました。
間違ってるとは思わないし、納得感があるアドバイスも多かったのですが、自分の行動につながりませんでした。
自分としてはまず基本を押さえて、その後徐々にアレンジして自分のものにしていく。と考えたときに最適だったのがプロジェクトマネジメントでした。
プロジェクトマネジメントが他のマネジメント知識と異なる点
プロジェクトマネジメントが他のマネジメントの知識と違うのは以下の3点です。
- 体系化された知識であること
- 現場で使われていること
- すでに知っているフレームワークも多いこと
体系化された知識であること
プロジェクトマネジメントはPMBOKに代表される体系化された知識です。
具体的には5つのプロジェクトライフサイクル×10個の知識エリア×3つのパート=150項目に整理されています。
その他、顧客との交渉やメンバーのマネジメントなど経験則と呼べるものもありますが、基本的な流れを押さえて発展させることができます。
現場で使われていること
またプロジェクトマネジメントは現場で実際に使われていることも多いです。特にIT企業なんかでは大なり小なり使われている知識となります。
すでに知っているフレームワークも多いこと
さらに「スコープ」や「WBS」という言葉は聞いてことがある人もいるのではないでしょうか。
みなさんが身近に使っているものもプロジェクトマネジメントに含まれています。なので150項目といってもとっつきやすい部分もあります。
以上が私がプロジェクトマネジメントを学ぼうと考えるに至ったきっかけです。
それではこれからプロジェクトマネジメントとは何かについて説明していきます。
プロジェクトマネジメントの歴史
冷戦時代に今の形が出来上がった
それではプロジェクトマネジメントを説明するにあたり、まずプロジェクトマネジメントの歴史からお話ししましょう。
一般に今のプロジェクトマネジメントが開発されたのは冷戦時代だといわれています。
有人ロケットの打ち上げに成功したソ連に対し、遅れをとっていたアメリカの国防省が軍事プロジェクトを加速させるためにプロセスを整理したのがプロジェクトマネジメントだといわれています。この時に作られたプロセス策定方法をPERT(Program Evaluation and Review Technique)と言われています。
つまりプロジェクトマネジメントはアメリカの軍事から始まったのですね。冷戦時代だと思ったより新しいなと感じた人もいるのではないでしょうか。
プロジェクトマネジメント以前のルーツ①科学的管理法
実はその前にもルーツとなるような理論を提唱した人が何人かいるので彼らについても簡単に触れておきましょう。
まず1900年代初頭にフレデリック・テイラーが科学的管理法を提唱しました。
この時、定義されたのがタスクとノルマです。経営学部や経済学部の方はご存じかもしれませんね。
プロジェクトマネジメント以前のルーツ②ガントチャート
次に影響を与えたのがヘンリー・テイラーのガントチャートです。
ガントチャートとはタスクとその期間を定義したものです。1931年に開始したアメリカでのフーバーダム建設プロジェクトで活用されました。
プロジェクトマネジメント以前のルーツ③5つの管理コア
最後にアンリファヨールの5つの管理コアについて説明します。
鉱山会社を経営していたファヨールは管理には5つのコアがあると定義しています。
- 計画:活動計画を立てる
- 組織化:ヒト・モノ・カネの分配を決める
- 指令:生産性最大化を図る
- 調整:諸活動間のバランスとタイミングをとる
- 統制:フィードバックしながら改善する
以上がプロジェクトマネジメントのルーツとなった理論です。
PMIの発足
その後、世界初のプロジェクトマネジメント団体PMIは1969年に5人の創設者によって始まりました。
現在では、世界中の208か所に50万人を超えるメンバーが在籍し、300の支部と10,000人のボランティアがいる団体となっています。
以上がプロジェクトマネジメントの歴史です。
なかなか壮大な歴史的背景がありますね。
次章で現在のプロジェクトマネジメントについてご説明いたします。
プロジェクトマネジメントとは|PMの全体像
本章では今使われているプロジェクトマネジメントについてご説明します。
様々なの書籍を読み漁った中で発見したのはプロジェクトマネジメントとは大きく2つあります。
前章にも出てきたPMBOKを元にした知識体系。経験から来るマネジメントTIPSです。
PMBOKを元にした知識体系
まずPMBOKから説明します。
まず全体イメージを載せます。
まずプロジェクトには5つのサイクルがあります。
それぞれ立ち上げ⇒計画⇒実行⇒管理コントロール⇒終結です。
これらの5つを通してプロジェクトが進んでいきます。
そしてそのそれぞれに対して10個の知識エリアがあります。
- 統合マネジメント
- スコープマネジメント
- タイムマネジメント
- コストマネジメント
- 品質マネジメント
- 人的資源マネジメント
- コミュニケーションマネジメント
- リスクマネジメント
- 調達マネジメント
- ステークホルダーマネジメント
そしてそれら10個の知識エリアの項目を設定するに当たって入力⇒ツールと実践技法⇒出力の3つのパートがあります。
元にする情報(入力)⇒それを分析する(ツールと実践技法)⇒アウトプットを出す(出力
)となります。
以上がプロジェクトマネジメントの大枠となります。
特にポイントとなる3点を少し詳しくご紹介したいと思います。
- スコープ定義
- WBS
- プロジェクト計画書
スコープ定義
プロジェクトの序盤に行うスコープ定義では、
プロジェクトを始めるにあたってそのプロジェクトで何を目指していて(ゴール)、そのために何をするか(スコープ)、反対に何をしないか(制約条件・前提条件)を決めます。
そのために要求事項をヒアリングして、要件として整理します。
その後の活動の基準となる重要なモノです。スコープ記述書にまとめます。
WBS
定義したスコープを元にタスクをタスクを具体化したものがWBSです。
ここでのポイントは成果物WBSとタスクWBSがあることです。
成果物WBSとは”いつまでに” ”誰が” ”どんなアウトプット”を出さなければいけないかを明らかにしたもので
タスクWBSはそのために”何をするか”を定義したものです。
整理出来たらガントチャートにまとめて、プロジェクトのゴールまでに誰が何をいつまでにするかをスケジュールに落とします。
プロジェクト計画書
そしてタスクを元に人のアサインや設備等の調達の計画をします。
それらをまとめてプロジェクト計画書を作成します。
タスクの計画はその他の計画も元になります。つまりWBSの精度がその後の計画の精度ということになります。
プロジェクト管理ツールで計画の管理をする
また上記のような細かい計画の管理をする場合、紙媒体やエクセルでの管理はかなり難しいです。
そこで現在は様々なプロジェクト管理ツールがあります。無料でも小規模チームなら十分対応しています。最新の ツールはUIが見やすいうえにおしゃれだったり、様々な工夫が見れて今後の参考になることも多いので、ぜひ見てみてくださいね。
経験からメンバーマネジメント、顧客交渉
次にPMBOK以外の実経験に基づく知見があります。いくつか例をご紹介します。
また以下で紹介する文言や読書メモはこちらの記事にまとめております。
要件定義なら
アウトプットの品質基準なら
- 「…と言う」「…と言わせる」を活用する(読書メモ)
- 問題を検知するには「問題があるとしたら何ですか?」と聞く(読書メモ)
- 相手に考えさせるには「何か助けられることはないですか?」(読書メモ)
- 遅延が発生した場合には「何を待っていましたか?」(読書メモ)
タスク設計なら
- 新人には独立性が高いタスクをアサインする(読書メモ)
マネジメント体制に関する知見なら
- 問題が多ければコミュニケーションプロセスの見直しを行う(読書メモ)
- 会議の3種類|問題発見、対策、実行支援(読書メモ)
- 関連パート同士のコミュニケーションを毎日させる(読書メモ)
- アナウンスで事足りるレベルは報告・連絡(読書メモ)
- 認識のすり合わせを行わなければならないことを共有という(読書メモ)
顧客対応に関する知見なら
- 顧客へは同じ話を繰り返し冷静に行う(読書メモ)
チームのマネジメントに関して
- リーダーの能動的なコミュニケーションが組織の稼働率を決める(読書メモ)
- マネージャーの仕事は声掛けがほとんど(読書メモ)
- 声掛けは一回3分の雑談で良い(読書メモ)
- 失敗したら反省してもらう+他の人にも教えてやってくれという(読書メモ)
- 0→1フェーズでは課題設定の共有をとにかく徹底する(読書メモ)
- 共通認識を持てるすべてを使って共有する(読書メモ)
- 1→10では新旧メンバーの対立の解消に全力を注ぐ(読書メモ)
リスクマネジメントなら
その他の仕事術やビジネスナレッジも必須
最後にプロジェクトマネジメントにおいてビジネスの知識は必要不可欠です。
顧客やプロジェクトオーナーの要求を理解し、彼らの求めるゴールに導くためにはビジネス知識が必要です。
マーケティングやファイナンス、経営の知識も学習しましょう。
あなたの周りのプロジェクトマネージャーも基本的なビジネスの知識は理解しているはずです。
また仕事術やタスク管理などはプロジェクトマネジメントに直接的に役立ちます。
幅広いスキルの向上になりますので併せて学んでみてはいかがでしょうか。
プロジェクトマネージャーになるために
プロジェクトマネージャーになる方法
今までお読みいただいたあなたは少しはプロジェクトマネジメントにご興味を持って暮れてるかもしれません。
そこでどうやったらプロジェクトマネージャーになるのかをご説明いたします。あ、もちろん未経験や今マネジメント経験がなくても方法はあるのでご心配ください。
プロジェクトマネージャーになる方法は大きく3つあります。
<PM(プロジェクトマネージャー)になる方法>
- 社内での昇進なら調整役を買って出よう
- 社外への転職なら業界や規模から判断しよう
- 未経験ならベンチャーで企画から設計に行くかSEから始める
社内での昇進なら調整役を買って出よう
現在SEなどで昇進したらPMになれる職種の場合、まずは積極的に調整役を買って出ましょう。
議事録や日程調整、伝達などの手間がかかるけど誰でも出来ることを買って出るとPMから信頼されます。
そのうち意見のとりまとめや指示をお願いされるようになりますし、メンバーからも相談やPMへの伝達をお願いされるようになります。
つまり社内で昇進するためにはプロジェクトチームで情報のハブとなりましょう。
社外への転職なら業界や規模から判断しよう
社外への転職ならご自身の経験や知見がある業界、もしくは同じくらいの規模の会社をおすすめします。
業界に詳しいことは大きなアドバンテージとなりますし、規模感に関しても同様です。
PMを探している会社にとって、PM経験が豊富な高単価な人よりも、経験は少ない(もしくはない)けれど、業界知見があってその会社の規模での働き方や仕事の進め方を知っている人を採用する場合もあります。
それだけ業界×規模でマッチする人は少ないのです。
未経験ならベンチャーで企画から設計に行くかSEから始める
最後にもし未経験からPMを目指すならベンチャー企業をおすすめします。
ベンチャー企業なら結果を出せば、過去の経歴やスキルより実績を重んじる会社があります。
そして自分から手を挙げればマネジメントポジションへのチャンスもあります。
そして職種としては企画やSEがおすすめです。
なぜなら人数が少ない中でプロジェクトを進めることとなるベンチャーではPMの周辺の職種ならチャンスがあるからです。
現在、マーケティングをしているなら企画系から開発のほうもマネジメントするチャンスもありますし、エンジニアももちろんチャンスがあります。
以下で細かく説明しているのでご覧ください。
プロジェクトマネージャーに向いている人の特徴
次にどんな人がプロジェクトマネージャーに向いているかを説明します。
もしあれはまるようであれば一度PMを検討してみてはいかがでしょうか。
<プロジェクトマネージャーに向いている人の特徴>
- 自分から人にコミュニケーションを図れる
- 嫌なことでも人に伝えられる
- 物事を構造化して考えるのが好き
- 目的意識が高い(ゴールを追い続けられる)
- 話しかけやすい雰囲気を持っている
(以下の記事で詳細を説明しています。)
プロジェクトマネジメントに必要なスキル
もしPM向きの特徴に当てはまらなくても大丈夫です。
プロジェクトマネジメントのスキルは鍛えることができます。
以下にプロジェクトマネージャーに必要なスキルとその鍛え方を説明します。
<プロジェクトマネジメントのスキルと鍛え方>
- 構造化力|議事録係を買って出る
- 提案力|フロントに立つ機会を増やす
- 発信力|自らメンバーに話しかける
- 調整力|他部署の人にも積極的に助けを借りに行く
- 計画力|個人でのタスク管理やスケジューリングを行う
もちろん技術力も必要ですが、上記のようなヒューマンスキルが求められるのがPMです。
以下の記事で詳細を説明していますのでご覧ください。
プロジェクトマネジメントに興味を持った方の第一歩
いかがだったでしょうか。この記事ではプロジェクトマネジメントに関して説明してきました。結論としましては、
- アメリカの軍事から始まったプロジェクトマネジメントを学ぶと世界標準の体系化された知識が手に入る
- 学ぶならPMBOKとそれ以外の両方から学習するとよい
- プロジェクトマネージャーへのルートはエンジニアからでもそれ以外からでもある
つまり、「就職にも有利」「マネジメント経験が無くても学べて」「グローバルスタンダードな知識」のプロジェクトマネジメントを学ぶなら今しかない!!です!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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