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まつ@新規事業開発ノート
東大理系院から新卒で営業ベンチャーへ。その後スタートアップに参画も倒産し一文無しに。現在はIT企業の新規事業部でシステムと人材事業の立上げを行いながら、自身が経験したこと、必要だったことを発信。

ワークフロー自動化プロトタイプの作り方5つのセオリー

※このブログはアフィリエイト広告を利用しています

うっかり社員

いきなり本番環境でワークフロー自動化を導入するのは怖い!
プロトタイプを作ることになったものの、何を目的にどこまで作ればいいものか?

プロトタイプは本開発とは根本的に目的が異なるため、作り方のセオリーを知らずに進めると、時間とコストを浪費するだけの失敗に終わります。

やり手社員

検証すべき問いと合格基準を先に定め、コアワークフローだけを作ることが重要。
可能な範囲で実データを使って動作確認をすることで、何をどう改善すれば実用に持っていけるかを判断しやすくなります。

この記事では、プロトタイプ制作で押さえるべき5つのセオリーと、よくある失敗パターンの避け方を解説します。

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プロトタイプの目的は作ることではなく学ぶこと

ワークフロー自動化のプロトタイプ制作で最も重要なセオリーは、プロトタイプの目的は完成品を作ることではなく、判断に必要な情報を得ることだという点です。

この原則を理解していないと、プロトタイプが本開発の縮小版になってしまい、時間もコストも膨らみます。プロトタイプを正しく機能させるには、作り始める前に2つのことを明確にする必要があります。

  1. 何を検証したいのかという問いの設定
  2. 何が分かれば次に進めるのかという判断基準の設定

検証すべき問いを先に立てる

プロトタイプに着手する前に、このプロトタイプで何を確かめたいのかを言語化します。これが検証すべき問いです。

ワークフロー自動化の文脈では、検証すべき問いは大きく3つのカテゴリに分かれます。

技術的な実現可能性

対象業務で使っているツール同士が自動連携できるのか、APIの仕様に制約はないかといった問いがこのカテゴリに該当します。たとえば、freeeの請求データをスプレッドシートに自動転記できるかという問いは、技術的な実現可能性の検証です。

業務フローとの適合性

自動化したワークフローが、現場の実際の業務の流れに無理なく組み込めるかという問いです。たとえば、承認プロセスのタイミングが現場の実態と合うか、月末の処理集中に耐えられるかといった問いが該当します。

投資対効果の検証

自動化によって実際にどれだけの時間が削減できるのか、ヒアリングベースの見積もりと実測値にどれだけギャップがあるのかという問いです。

重要なのは、1つのプロトタイプで全ての問いに答えようとしないことです。検証したい問いを1〜3個に絞り、その問いに答えるために必要な最小限のワークフローだけを作る。これがプロトタイプ制作の出発点です。

何が分かればOKかの判断基準を決める

問いを立てたら、次にその問いに対してどういう結果が出れば合格とするのかを事前に決めます。

たとえば、freeeからスプレッドシートへの自動転記の技術検証であれば、合格基準は次のようになります。freeeのAPIから請求データを取得し、スプレッドシートの指定シートに正しいフォーマットで書き込みが完了すること。処理時間が1件あたり5秒以内であること。この基準を事前に決めておけば、プロトタイプの完成後に合格か不合格かを客観的に判断できます。

判断基準が曖昧なまま作り始めると、プロトタイプが出来上がった後に、もう少し作り込んだ方がいいのではないか、この機能も検証した方がいいのではないかと際限なくスコープが広がります。作り始める前に合格基準を書き出しておくことが、作りすぎを防ぐ最大の歯止めになります

ワークフロー自動化プロトタイプで作るべき範囲と捨てるべき範囲

まつ

プロトタイプで何を作り、何を作らないか。
この判断がプロトタイプの成否を分けます。
原則はシンプルです。検証に必要なコアワークフローだけを作り、それ以外は全て本開発に回します。

コアワークフローだけを作る

コアワークフローとは、対象業務の中で最も頻度が高く、最も時間がかかっている一連の処理のことです。

たとえば、請求書処理の自動化を検証する場合を考えます。請求書処理の全体像には、メールの受信、添付ファイルの取得、データの読み取り、スプレッドシートへの記録、担当者への通知、承認フロー、会計ソフトへの入力、月次レポートの生成など、多くの工程が含まれます。

このうちコアワークフローは、メールの受信から添付ファイルのデータ読み取り、スプレッドシートへの記録、担当者への通知までです。この一連の流れが正しく動くかを確認できれば、技術的な実現可能性と業務フローへの適合性の大部分を検証できます。月次レポートの生成や会計ソフトへの連携は、コアワークフローが検証できた後に本開発で追加すればよい工程です。

プロトタイプでは、業務の80%をカバーする20%の処理だけを作る。この考え方がスコープを適切に絞る基準になります。

エラー処理・例外・UI磨きは後回しにする

プロトタイプで意識的に省略すべき要素は、大きく3つあります。

エラーハンドリング

本番運用では、API接続のタイムアウト、データフォーマットの不整合、外部サービスの一時停止など、さまざまなエラーに対処する仕組みが必要です。しかしプロトタイプの段階では、正常系の動作確認が目的です。エラーが発生した場合は手動で対処すればよく、自動復旧の仕組みを作り込む必要はありません。

例外処理

現場の業務には、通常のフローとは異なる例外的なケースが必ず存在します。特定の取引先だけフォーマットが違う、特定の条件のときだけ承認ルートが変わるといったケースです。こうした例外は本開発で対応すべき範囲であり、プロトタイプの段階で全てを網羅する必要はありません。ただし、例外がどのくらい発生するかを記録しておくことは重要です。この記録が本開発の設計に活きます。

通知やUIの作り込み

通知メッセージの文面やフォーマット、管理画面のデザインといった見た目の作り込みは、プロトタイプでは最低限で十分です。動作の確認ができるレベルであればよく、見栄えに時間をかけるのは本開発の段階です。

使い捨て型と進化型のどちらで作るかを決める

プロトタイプには大きく2つのアプローチがあります。使い捨て型と進化型です。どちらを選ぶかによって、プロトタイプの作り方が変わります。

使い捨て型(ラピッドプロトタイピング)

使い捨て型は、検証が終わったらプロトタイプを廃棄し、本開発ではゼロから作り直すアプローチです。とにかく速く作って検証することを最優先にするため、コードの品質や拡張性は一切考慮しません。技術的な実現可能性だけを確認したい場合や、複数のアプローチを比較検討したい場合に向いています。

進化型(ブレッドボード型)

進化型は、プロトタイプをそのまま本開発のベースとして拡張していくアプローチです。プロトタイプの段階からある程度の設計品質を意識して作る必要があるため、制作に少し時間がかかります。しかし、本開発への移行がスムーズで、二度手間になりません。

ワークフロー自動化のプロトタイプでは、進化型が自然に成立するケースが多いです。ノーコードやローコードのツールでは、プロトタイプとして作ったワークフローをそのまま本番に拡張できるため、わざわざ作り直す必要がないからです。ただし、進化型を選ぶ場合でも、プロトタイプの段階ではコアワークフローに絞るという原則は変わりません。

実データで検証し、フィードバックを次に活かす方法

プロトタイプが完成したら、次は検証のフェーズに入ります。検証の質がプロトタイプの価値を決定づけるため、ここでの進め方が重要です。

テストデータではなく実データを使う理由

プロトタイプの検証では、テストデータではなく実際の業務データを使うことを強く推奨します。

テストデータで検証すると、正常系の動作は確認できますが、現場の実態に起因する問題が見えてきません。実データには、フォーマットの揺れ、想定外の値、欠損、日本語と英語の混在など、テストデータでは再現しにくい特徴が含まれています。これらは本番運用で確実に遭遇する問題であり、プロトタイプの段階で発見しておくことに大きな意味があります。

もちろん、個人情報や機密データを含む場合は取り扱いに注意が必要です。必要に応じて個人を特定できる情報をマスキングした上で、データの構造やフォーマットは実際のものを維持するという方法を取ります。

フィードバックの記録と構造化

検証で得られたフィードバックは、そのまま放置すると散逸してしまいます。フィードバックを本開発に活かすためには、記録の仕方に一定の構造を持たせることが重要です。

フィードバックを記録する際は、3つの要素に分けて整理します。

事実:何が起きたかを客観的に記録する

たとえば、月末の請求データを処理した際、特定の取引先のデータだけフォーマットが異なりエラーが発生したという記録です。主観を交えず、発生した現象をそのまま書き留めます。

解釈:その事実が検証結果にとって何を意味するか

先ほどの例であれば、取引先ごとのフォーマット差異に対応する例外処理が本開発では必要になるという解釈です。事実から一歩踏み込んで、プロトタイプの検証目的に照らしてどんな示唆があるかを記録します。

次のアクション:本開発で何をすべきかを具体化する

この発見を受けて、本開発で何をすべきかを具体的に記録します。本開発ではフォーマット判定ロジックを追加し、取引先マスタと照合して適切なパーサーを選択する設計にするといった内容です。

この3要素で整理することで、プロトタイプの検証結果が本開発の設計書の一部としてそのまま使える状態になります。検証が終わった段階で、事実と解釈と次のアクションが一覧になったドキュメントが残っていれば、本開発の要件定義を大幅にショートカットできます。

プロトタイプが失敗する3つのアンチパターン

プロトタイプの作り方のセオリーを理解していても、実際の現場では陥りやすい罠があります。ここでは、プロトタイプが本来の機能を果たさなくなる3つのアンチパターンを紹介します。

作りすぎてプロトタイプが本開発と区別できなくなる

最も多い失敗は、スコープクリープです。関係者にプロトタイプを見せると、この機能も追加してほしい、このケースにも対応してほしいというフィードバックが出てきます。これ自体は健全な反応ですが、全てのフィードバックをプロトタイプに反映してしまうと、プロトタイプと本開発の境界がなくなります。

対策はシンプルです。プロトタイプで対応するフィードバックと、本開発に回すフィードバックを明確に分けることです。判断基準は、当初設定した検証の問いに直接関係するかどうかです。検証の問いに関係するフィードバックはプロトタイプで対応し、それ以外は全て本開発の要件として記録に残します。

検証せずに本開発へ移行する

プロトタイプを作ったものの、十分な検証をしないまま本開発に進んでしまうケースです。これはプロトタイプを作ること自体が目的化してしまった場合に起こります。

プロトタイプの価値は、作ったものそのものではなく、検証を通じて得られた気づきと判断材料にあります。プロトタイプを作って関係者に見せただけで満足してしまい、実データでの検証やフィードバックの収集を省略すると、本開発で同じ問題に直面することになります。

やり手社員

プロトタイプが完成したタイミングで検証期間を必ず確保し、最低でも1〜2週間は実業務に近い条件で運用してからフィードバックを収集する。この工程を飛ばさないことが重要です。

現場の担当者を巻き込まない

プロトタイプの設計や検証を、推進担当者やエンジニアだけで完結させてしまうケースです。

ワークフロー自動化の最終的なユーザーは、日々その業務を行っている現場の担当者です。現場の担当者がプロトタイプに触れないまま本開発に進むと、完成したシステムに対して使いにくい、自分たちのやり方と合わないという反発が起きやすくなります。

プロトタイプの段階で現場に触ってもらい、フィードバックを引き出すプロセスを経ることが、本開発後の定着率を大きく左右します。現場の担当者は、自分の意見が反映されたシステムに対しては当事者意識を持ちやすく、導入後の運用もスムーズに進みます。

ワークフロー自動化のプロトタイプ構築を私たちに依頼するメリット

プロトタイプは正しいセオリーに沿って作れば強力な武器になりますが、セオリーを実行に移すには経験が求められます。ここでは、私たちにプロトタイプ構築を依頼いただく場合の具体的なメリットをお伝えします。

要件定義から入り、自動化すべき業務を見極められる

私たちの支援は、ワークフローの開発からではなく、要件定義と業務分析から始まります。SIerのフロントとして要件定義や業務分析を担当してきた経験を活かし、単に作業内容を聞くだけでなく、なぜその業務が今のやり方で行われているのか、本当に自動化が必要なのかまで掘り下げます。

ROI試算をもとに自動化すべきでない業務は正直にお伝えします。ROIが明確に出る業務だけを自動化するというスタンスが、私たちの支援の基本方針です

現場のフローを変えない設計で導入抵抗を最小化できる

自動化の設計において最も重視しているのは、現場の業務フローを変えないという原則です。現在使っているExcelやスプレッドシートをそのまま活かし、データの入力や更新が自動で行われる仕組みを構築します。

さらに、完全自動化ではなく人が判断すべき部分と機械に任せられる部分を明確に分けるHITL(Human in the Loop)の設計思想を取り入れ、現場が安心して運用できる状態を作ります。

導入後の運用・保守まで見据えたサポートを受けられる

業務自動化は導入して終わりではありません。私たちの支援では、ワークフローの開発に加えて、運用マニュアルの作成と担当者への引き継ぎまでを含めています。定期メンテナンス契約による予防保守も提供しており、外部サービスのAPI仕様変更などによるトラブルにも迅速に対応できる体制を整えています。

まとめ

ワークフロー自動化のプロトタイプを正しく作るには、5つのセオリーを押さえることが重要です。目的は学ぶことであり作ることではないという原則のもと、検証すべき問いと合格基準を先に定め、コアワークフローだけを作り、エラー処理や例外は本開発に回します。

検証では実データを使い、フィードバックを事実・解釈・次のアクションで構造化して記録します。作りすぎ、検証不足、現場の不参加という3つのアンチパターンを避ければ、プロトタイプは本開発の品質とスピードを大幅に向上させる武器になります。プロトタイプの構築に興味をお持ちの方は、まず無料相談からお気軽にご連絡ください。

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