営業活動はどうしても個人の裁量によってしまい、組織として安定した成績を上げ続けることが難しいと考えてしまいますよね。。。
しかし適切なフェーズに分割し、各フェーズで行う行動を明確化出来れば再現性を上げることが出来ます。そこで今回は営業を進めていくうえで有効に働く枠組みとその項目を説明します。
またこうした枠組みを構築するための改善マネジメントの仕組みを構築する方法についても説明していきます。
営業のマネージャークラスの人や営業担当として高い成績を安定して上げたい人へお勧めしたい記事です。
今回の記事に沿ったテンプレートをこちらと最後に添付します。
営業テンプレート.xlsx
記事を読みながらテンプレートを埋めていけば戦略が立てられるようになっているので、是非お役立てください。
営業戦略は機能戦略|企業の戦略で最も上に来るのは経営戦略
まずは営業戦略が様々な戦略の中でどこに位置付けられるかを説明します。世の中にはたくさんの戦略と呼ばれるモノがあると思います。色々ありすぎて複雑だと思いますが、ここでは企業に関わる戦略をまとめます。
戦略は大きく3つに分類される|経営戦略・事業戦略・機能戦略
まず戦略は上から上から経営戦略、事業戦略、機能戦略の3段階に分類されます。経営戦略とは企業の全体の方針を定義づける戦略です。その下に事業戦略があり、各事業がどうすれば生き残れるかを定義します。そして最後に機能戦略として、事業成功のために必要な各部署(マーケティングや開発、営業など)の戦略を定義します。そして営業戦略はこの機能戦略に位置します。
営業戦略はマーケティングの一部
機能戦略の中でも営業戦略は売上を上げるための戦略です。そこで売るための戦略と言えばマーケティングと思われるかと思います。マーケティング戦略はマーケット(=市場)を作る、価値を作るための戦略であり、その中の一つとして売るための戦略(=営業戦略)が含まれます。
そして売るための戦略とは新規顧客獲得とリピート率を増加するための戦略を指します。
新しいお客様がどんな人でなにに困っているので、どういう風にアプローチすれば良いかを考えます。
営業戦術は営業戦略達成のための営業担当者の行動の定義
営業戦略を定義したら、それを各担当者レベルの行動に落とし込みます。これを営業戦術と呼びます。そのための販促ツールやトークスクリプトなどを作成することも含まれます。
営業戦略で考えるべき項目3つ|商品軸、顧客軸、フロー軸
それではここから実際に営業戦略を立てていきます。
今回は、商品に対する説明や質問(=商品軸)、お客様の課題や人物像とそのお客様にたいするコミュニケーション(=顧客軸)、お客様がどういった順序・流れで購入に至るのか(=フロー軸)の3種類で考えていきます。
営業戦略や営業企画のフレームワークや分割方法は様々ありますが、なるべく簡易化するために3軸に分割しました。何を(what)・誰に(who)・どうやって(how)を定義します。
営業戦略の3軸
- 商品(what)
- 顧客(who)
- フロー(how)
特に0から考える場合には商品→顧客→フローの順に立てていくと進みやすいでしょう。
ご参考にこちらにテンプレートを添付します。以下にテンプレートに合わせた各軸と詳細項目の説明をしていきますので、テンプレートをダウンロードして以下の説明とともに項目を埋めていけるように作りましたので、お役に立てれば幸いです。
営業戦略で考えるべき項目①商品軸|商品の説明や握るべき情報の定義
まず商品について営業として定義しておくべき項目について説明します。商品の説明と購入へつなげるために握っておく質問を定義します。
商品説明|FABEC
まず商品の説明のためのフレームワーク”FABEC”をご紹介します。これはFABECの頭文字の単語に対して商品の説明を行うものです。営業戦略を立てる上で最初にこのフレームワークを用いた分析を行うと商材の理解が深まり、この後の戦略を立てる助けになります(参考文献:トップセールスは教えてくれなかった! 営業は台本が9割 (きずな出版))。
FABECの項目
- Features(特徴)|競合商品と異なる点
- Advantages(特長)|自社商品の優位性
- Benefits(利益)|あなたの商品を使うことのメリット(必要性と欲求)
- Explanation(説明)|顧客の疑問を解決するための商品説明
- Confirmation(確認)|最終的な確認
Features(特徴)|競合商品と異なる点
まずは競合商品と異なる点を良い・悪い問わずに説明します。こうすることで聞き手がすでに知っている競合製品と比較し、あなたの商品の全体像がつかめます。
例:弊社の商品は他社と比較して価格は高いですが、品質に優れています。特に安全性が高いです。
Advantages(特長)|自社商品の優位性
次にその中で何が優れているのかを説明します。なるべく具体的にデータや根拠などとセットで説明すると信頼性が増します。
例:安全性の面は非常に優れており、他社比較で○○%の満足度を誇りました。自社の安全性テストでも○○といったデータが出ております。
Benefits(利益)|あなたの商品を使うことのメリット(必要性と欲求)
その優れている特長のおかげで顧客がどんな恩恵を受けるかを説明します。利用シーンに合わせて説明すると顧客がイメージしやすいです。なぜ購入しないといけないのか(必要性)、購入すると何が達成されるのか(欲求)を説明します。
例:この商品を使うシーンは○○です。この際には費用がかかったとしても身の安全を守れる必要があるのではないでしょうか。
Explanation(説明)|顧客の疑問を解決するための商品説明
ここまで説明してきて顧客が疑問を持ったところや興味を持ったところを重点的に商品を通しで説明します。顧客の断片的な理解との確認を行います。
例:改めてご説明させていただくと、この商品はこういう商品です。
Confirmation(確認)|疑問点の確認とテストクロージング
ここまでの営業トークを踏まえて、質問の確認とテストクロージングを行います。いわゆる”NO消し”と呼ばれるものです。顧客の不安を消していく作業となります。そして契約や購入のステップに移るためのテストクロージングを行います。
例:ここまでの説明でご不明点等ございますでしょうか。
ニーズ喚起質問|SPIN
次に、顧客にニーズ喚起させるための質問を考えていきます。ニーズ喚起とは欲しいと思わせることです。上記FABECの商品説明のBenefitsの部分で身近な利用シーンの具体例と合わせて、質問を考えていくと良いです。またここではあくまでロジカルに整理することを第一目的とおいて分析していきます。もちろん会話の方法や関係性など、ソフトスキルがないと難しいとは思いますが、ロジカルなルートの整理ができているとソフトスキルも含めたルートが考えやすいです。
SPINの項目
- Situation Question(状況質問)|顧客の状況を理解する
- Problem Question(課題質問)|課題を定義する
- Implication Question(示唆質問)|課題を気づかせる
- Need-Payoff Question(解決質問)|解決方法を気づかせる
Situation Question(状況質問)|顧客の状況を理解する
まずお客様へ現状について伺います(欲しいものではありません)。お客様はいきなり欲しいものを聞くと押しが強く感じてしまいます。そうではなく顧客自身に興味を持っていると感じられるように質問します。そして、正しい提案をできるように必要な情報を聞いていきます。
質問項目
- 購入頻度
- 購入金額
- 購入場所・ルート
- 購入決定者・購入フロー
Problem Question(課題質問)|課題を定義する
お客様の現状を理解したら、次は、顧客の本質的な課題と本当に欲している状態を顧客が理解する質問をしていきます。顧客のなりたい姿とどうやって達成するかを質問していけばよいでしょう。
質問項目
- 顧客が感じている課題
- 顧客企業の達成したい目標
- 顧客担当者が求められていること
- 顧客担当者自身の求めていること
- 課題の解決方法として定義されていること(=タスク)
Implication Question(示唆質問)|課題を気づかせる
ここまでくるとお客様はご自身の課題や状況がわかってきます。そこで、解決方法と本質的なボトルネックが何なのかを質問していきます。もちろん直接聞くと失礼にあたる場合もあるので、あえて間違った仮説をぶつけて引き出したり、自分について教えてもらう立ち位置で相談するなどして、本質に迫りましょう。
質問項目
- 目標に対する最大の障害はどんなことか
- 過去はどんな原因でうまくいかなかったのか
- 担当者の認識と企業のニーズのずれはどこか
Need-Payoff Question(解決質問)|解決方法を気づかせる
そして最後に解決策として自社の商材の購入へ導いていきます。あなたが提案するのではなく、顧客が答えに気づくことが大切です。特に障壁となるのは顧客に行動を起こさせることです。そこで今すぐになぜ行動する必要があるのかを顧客と確認していきます。
質問項目
- 購入すべき緊急性
- 購入すべき重要性
- 購入すべき理由
- どういうラインナップが必要か
クロージング質問|BANT
ニーズを十分に喚起出来たら次はクロージングへ向けたヒアリングに移ります。購入を仮定して、具体的なイメージを描かせます。ここではBANTというフレームワークを用います。特にtoB営業でよく使われるフレームワークです。顧客の確度を確認する指標ともなります。
BANTの項目
- Budget(予算)|商材の単位の確認
- Authority(決済権)|担当者の決裁権と決済フロー
- Needs(必要性)|必要な理由
- Timeframe(購入時期)|いつ購入するか
Budget(予算)|商材の購入希望単位の確認
顧客がどのくらいの量と頻度で購入したいかを確認します。特にtoBの場合には各使用目的に応じた予算が決まっており、その範囲内に収める必要が出てきます。また予算がない場合は新たに予算の審議が必要となります。そのためには予算の承認フローを理解したうえで適切な提案をする必要があります。
Authority(決済権)|担当者の決裁権と決済フロー
ご担当者が決済権があるかどうか、そしてどういう流れで決済するのかを確認します。誰にどんなアプローチをしておけば購入に至れるかを確認します。実際、いくら担当者が乗り気でも決済フロー上でストップがかかり破断することは多々あるのではないでしょうか。また、個人向け(toC向け)でも、例えば車のセールスでは夫より奥様にセールスを仕掛けたほうがうまくいく事例も多いようです。したがって、toB、toCともに使える項目です。
Needs(必要性)|必要な理由
顧客と購入理由を明確にします。なぜ必要なのかを社内での承認が得られるように説明できる必要があります。顧客の利益にどう貢献できるかをすり合わせます。
Timeframe(購入時期)|いつ購入するか
そしていつ導入するかを確認します。緊急性が高いほど見込みの高い顧客だと言えます。
営業戦略で考えるべき項目②顧客軸|顧客との関係構築のための作戦
商品についての必要な説明や握るべき情報を定義出来た後は、それに基づいた顧客との関係構築方法について考えていきます。
顧客との関係構築レベル(ラポール)|顧客との関係性にはレベルがある
顧客との関係を深めて行くうえでまず説明させて頂きたいのが、顧客との関係構築には階層が存在するということです。今回はラポールテクニックから3つの階層をご紹介します。ご自身がそれぞれの顧客との関係性を図る指針としてご活用ください。
ラポールの3階層
- レベル1:顧客のため(あなた→顧客→対象)|サポートとして
- レベル2:顧客とともに(あなたー顧客→対象)|チームとして
- レベル3:顧客と同一化(あなた=顧客→対象)|顧客自身として
レベル1:顧客のため(あなた→顧客→対象)|サポートとして
まずは顧客のためにあなたが何を出来るか。という立ち位置で顧客と接します。これは営業経験者であれば基本となるかと存じます。顧客の目的達成のためにあなたの立場からいかに顧客のサポートが出来るかを徹底的に考えて実践していきます。
レベル2:顧客とともに(あなたー顧客→対象)|チームとして
次に顧客とともに共通の目的達成のために働きかける立ち位置が来ます。顧客と同じ組織にいるような立場で共に考え、共に目的達成のために行動していく状態です。
レベル3:顧客と同一化(あなた=顧客→対象)|顧客自身として
最終的には顧客と感情を同一化し、顧客自身のように悲しんだり、喜んだりする状態になります。ここまで来るとただの顧客と営業を超えた関係性になります。
顧客との関係性を深めるためのテクニック4つ
上項のようなラポールの関係性を深めていくために使えそうなテクニックを4つご紹介します。もちろんこれらはあくまでこのテクニックを使ったら必ず関係性が深まるというものではなく、このテクニックを駆使して臨機応変に使いこなすノウハウが必要となるでしょう。
ラポールテクニック4選
- バックトラッキング|顧客の言葉を繰り返す
- ミラーリング|顧客の言動をトレースする
- ペーシング|顧客のリズムに合わせる
- キャリブレーション|ノンバーバルコミュニケーションを駆使して戦う
バックトラッキング|顧客の言葉を繰り返す
まずはお相手の言葉のオウム返しから始めましょう。特にキーとなる単語を取り違えずバックトラックし、もう一歩深堀する質問を返しましょう。
ミラーリング|顧客の言動をトレースする
その次はお相手の行動をマネすることでなんとなく感覚的に相性が良いと認識させていきます。例えば、相手がお茶を飲めば自分もワンテンポ遅らせてお茶を飲むなど相手の行動をわざとらしくない程度に追っていくことで、信頼を得ることが出来ます。ここでポイントとなるのは相手に気づかれないことです。自然に出来る範囲内でトライしてみるとよいでしょう。
ペーシング|顧客のリズムに合わせる
そこまでできてくると、相手のリズムに合わせる段階に入っていきます。呼吸や相槌のテンポ、会話のスピード等固有のリズムは実はたくさんあります。これらは普段から意識してペーシングの訓練は必要なことも多いですが、色々試してみると反応が得られると思います。
キャリブレーション|ノンバーバルコミュニケーションを駆使して戦う
ペーシングの発展とも捉えられますが、言語情報以外の行動も相手に合わせていけると自然と話しやすい、接しやすいと感じてもらえます。
具体的な作戦①|顧客自身のことを網羅的に理解する(ペルソナ分析)
まずはあなたの商材の顧客として想定される人物像を分析していきます。以下に項目例とその項目の使い方や定義したい理由を説明していきます。
ペルソナ分析の項目例 | その使い方や定義したい理由 |
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職種・役職 | 顧客担当者が決済権を持っていると商談の進捗がスムーズです。また職種や職位によって共通の悩みやミッションがあることも考えられます。 |
年齢・性別・住居 | 年齢・性別・住居などの情報が分かればプライベートな話題でどんな話が適切かを推定することが出来ます。例えば、50代の男性であれば仕事やゴルフなどの話は良くしていることが多いでしょう。もしご自身がやっていなくても質問の回答を持っていることが多いでしょう。 |
趣味・嗜好 | 上項の年齢・性別・住居と関連してくると思いますが、職種や年齢等が定まってくれば興味関心の項目が分析することが出来ます。 |
キャリア・学歴 | 医師など資格が必要な職種は特に分かりやすいと思います。医師免許のための勉強が過酷なことは容易に想像できます。その辺は話題に出来るかもしれません。 |
具体的な作戦②|顧客自身に興味を持っている思わせるヒアリング項目(関係構築質問)
ペルソナ分析を終えたら、次に顧客に自身のことを話してもらうためにどんな質問をしたら良いかを考えます。汎用的な方法としては現在→過去→未来の順に質問していくと良いでしょう。
ヒアリング項目例 | 詳細 |
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現在のポジションでの苦労な悩み | 上記のペルソナ分析の現在の職種や職位に共通する悩みにどんなものがありそうか考えてみましょう。その質問と想定される回答を持っておくとその先の会話も展開しやすいです。 |
過去の努力や苦労 | 現状の話を色々伺えたらそこに至るまでの苦労やあるあるなどをヒアリングしていきましょう。過去のエピソードを共有した相手とは信頼関係が構築されたと感じやすいです。 |
将来の目標 | そして最後に将来の話をお伺いします。過去から現在までの流れと将来像が分かると顧客個人に対しての課題解決を提案することが出来ます。顧客個人と組織の双方の解決とあなたの営業活動が一致していると話すことが出来れば、担当者はより意思決定しやすいです。 |
具体的な作戦③|設定したペルソナの顧客に対して共感を得られるご自身のエピソード(自己開示説明)
そして最後にあなたの自己開示エピソードを考えていきます。具体的な作戦②の3分割に対応するエピソードを定義していきます。
自己開示エピソード例 | 詳細 |
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現在の顧客のポジションに近似している話 | もしあなたが営業担当者の場合はあなた自身が顧客と同様の経験をしていることは少ないかもしれません。その場合は他のお客様のお話やご自身の知り合いのエピソード等が当てはまるのではないでしょうか。 |
過去の経験に近い話 | あなたが経験した苦労をお話出来れば何かしらお客様が理解出来るかと思います。ここでのポイントはお客様と先生と生徒のような立ち位置で相談するとお客様はご自身のお話も含めてご教授くださるかと思います。 |
将来の目標のための話 | 将来の話もあなたの目標を先に相談する形にすると、お客様はどんな目標を持たれておられますか?と聞きやすいです。 |
営業フローに基づいたアクションの定義
ここまで考えてきた営業戦略を実行する方法を定義していきます。具体的には
- ステップの分解
- 取るべき行動と必要な販促ツールの定義
- 各ステップにおける目標
を定義していきます。
ステップの分解|一般的な営業の5ステップ例
まず最初に契約成立までの営業担当者の行動を分解していきます。ここでは一般的な例としてアポ取りからクロージングまでを5ステップに分割した例を説明していきます。
①アポ取り
まずは話を聞いてもらう機会を得るための行動をします。昔なら飛び込みや電話等が主流でした。他にはDMやメール、SNSでの連絡などのプッシュ型とWEBコンテンツやセミナーなどのプル型施策があります。ご自身の商材やコネクションなどを鑑みながら複数の施策を試しながら最適化していきましょう。
②関係構築
アポイントが取れたら次は顧客と関係を構築していきます。前述の関係構築質問や自己開示をしながら顧客からどこまで信頼を得られたら次のステップに進んでいいかを定義しておくと良いでしょう。
③ヒアリング
顧客と最低限、関係を構築出来たら商材に関するヒアリングに入っていきます。次に来るプレゼンのために必要な情報をヒアリングしていきます。特に顧客ごとに差が大きい項目などは握っておく必要があります。
④プレゼン
必要な情報をヒアリングし、顧客の興味が続いているようであればプレゼンに入っていきます。顧客が決断するために必要な情報と悩みやすい部分での選択肢の定時案などを事前にストックしておくと本番でぶれずに済みます。
⑤クロージング
最後に契約合意まで進めていくためのクロージングを行います。顧客の不安事項を消していきます。
表にまとめると以下のようになります。
ステップ名 | アクション |
---|---|
①アポ取り | 話す機会を得る |
②関係構築 | あなたが怪しい人ではないことを証明する |
③ヒアリング | 商材に関しての情報を引き出す |
④プレゼン | 顧客に合わせ説明をする |
⑤クロージング | 契約合意をする |
ステップの移行時にはテストクロージングを行いましょう
一般的な営業のステップについて説明していきましたが、それぞれのステップへ移行する際にテストクロージングを行いましょう。テストクロージングとは次のステップへ移ってもよいかを確認することです。ヒアリングが出来たら、「次に商品のご紹介をさせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか」のような感じです。それぞれのステップで確認することで、顧客も自分が合意したと認識するので、しっかり話を聞いてくださったり、答えてくださったりします。
取るべき行動と必要な販促ツールの定義
ステップの分解が出来たらそれぞれのステップのアクションと販促ツールの定義と準備をしていきます。以下にアクションと販促ツールとして用意が必要なものの例を示します。全ステップとアクションを並べた時に繋がっているか、最低限の項目は満たされているかを確認します。営業担当としてはこちらが明確だとアクションに移しやすく結果が出やすいです。
ステップ名 | アクション例 |
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①アポ取り | ー企業の代表電話番号からテレマーケティングを行うー顧客代表のSNSアカウントへの連絡 |
②関係構築 | ー顧客に合わせた自己紹介を行うーアイスブレイクとして業界の共通話題を話すーヒアリング移行へのきっかけをつかむ |
③ヒアリング | ー顧客の同様の商材に関する使用状況を聞くー顧客の課題について聞く |
④プレゼン | ー顧客の課題を自社商材によって解決する方法を提示するーその理由を説明するー具体的な提案をする(商品、金額、、、etc) |
⑤クロージング | ー契約内容のすり合わせー契約書の締結 |
ステップ名 | 販促ツール例 |
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①アポ取り | ー営業リストートークスクリプト |
②関係構築 | ー自己紹介文ーアイスブレイクネタ |
③ヒアリング | ーヒアリングシート |
④プレゼン | ー営業資料 |
⑤クロージング | ー契約書ひな型の作成ー契約交渉基準の作成 |
各ステップにおける目標
各ステップにおける行動が定義出来たら、各ステップにおける目標を定義していきます。最低限ステップごとに満たす必要がある条件を設計していきます。例えば、顧客から必要な情報が手に入らなければ商材の具体的な提案が出来ない等があります。以下に簡単な例を示します。
各ステップにおける目標例
ステップ名 | 目標例 |
---|---|
①アポ取り | ー担当者の役職 |
②関係構築 | ー担当者のミッション |
③ヒアリング | ー同様の商材の使用頻度・方法・量 |
④プレゼン | ー営業資料 |
⑤クロージング | ー開始時期 |
営業マネジメント|目標(KGI)|達成目標が無ければ営業担当は迷う
ここからは営業マネジメントの方法を定義していきます。数値目標を設計したり、制度構築をしたりして再現性高い組織を作ることが目的です。まずは営業担当者のゴール(KGI:Key Goal Indicator)を設計します。
顧客視点|企業が営業に求めるのは利益
まずは顧客との間での目標について説明します。また一般には営業担当に対して予算を割り振って月毎の売上を追いかけます。売上目標は実績管理が容易なので、企業側からは好まれます。今まで立ててきた戦略を用いることで達成可能な目標を立てます。
そして顧客満足度が高いと継続的な購入や新たな顧客の紹介が見込めるので、企業側から見ると重要な指標です。
以下のような指標を設計します。
- 年売上目標
- 顧客満足度調査が○○点以上
- 顧客月単価
- 顧客からの紹介顧客数
上記のような項目を業種に合わせて設定し、検証しながら数値の妥当性を高めていきましょう。
従業員視点|営業がもとめるのは給与、スキル、出世
上記顧客視点に対して、達成するために従業員の満足度を高める必要があります。そして人それぞれ満足度が異なることと、企業の業績とつながらないことが考えられます。逆に言うと従業員のモチベーションや行動に繋がる指標を設計できれば企業の業績向上が見込めます。
従業員満足度を高めるための指標には3つの方向性があります。以下に示します。
- 力をつける|スキルの評価とスキルアップの方法
- お金を稼ぐ|給与と目標達成基準
- 出世する|目標と職位の関連
これらの項目を顧客視点の指標と紐づけられると従業員が自分のために努力した結果、企業としても目標を達成することが出来ます。
顧客より従業員を大事にするマネジメント|CSよりES
一般に”お客様は神様だ”などといわれますが、著名経営陣には顧客より従業員を大切にすることによって、企業の経営を最適化すると説く方も多いです。
顧客満足度:Customer SatisfactionとEmployee Satisfaction:従業員満足度という2つの指標で比較されます。
20世紀最高の経営者と言われたGE社元CEO ジャックウェルチも従業員を重要視していました。あなたが経営者なら顧客に直接会う機会がどんどん減っていくのではないでしょうか。あなたが直接会うのは従業員の方が圧倒的に数が多いはずです。したがって従業員満足度を高める施策は非常に有効だと言えます。
営業マネジメント|タスク(KPI)|現実的なタスクを設定する
ここからは目標に対しての具体的な数値のタスクを作成していきます。特に前述の営業フローに基づいたアクションの定義の行動に対して数値目標を設定していきます。この時に使用する指標がKPI:Key Performance Indicatorです。以下に月次、週次、日次のKPIの例を記載します。dailyの行動が月次の売上に達成に繋がるを考える必要があります。
月次目標|結果と過程(成長)の両面でステップアップできているか
月次目標は年の売上目標を達成するための売上目標と、次月の売上に繋がるような見込み客の醸成のための指標を立てます。以下に項目例を記載します。
月次KPIの項目例
月次KPI例 | 詳細 |
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売上 | 毎月個人別の売上目標です。まず営業担当者は毎月の売上を目標にするのでその個人が達成出来そうな感覚がある数値を設計するとモチベーションのアップにもつながります。しかし会社として個人に上げてほしい売上もあるので、そのバランスを取りながら設計していきます。 |
リード数 | 次に契約に至らずとも次月の売上につながるような見込み客の数値目標を設計します。一般的に言えば、商材に興味を持ってくれて、値段交渉まで行ったタイミング(お見積りの送付)などが当てはまるでしょう。 |
訪問数 | 上記2項目を達成するための最低限の母数が足りているかを考えます。従来でいえば訪問数となると思いますし、今ならオンラインミーティング数としても良いでしょう。 |
週次目標|デイリーの行動がちゃんと結果へ結びついているか、月次目標に繋がるKPIが設定できているか
次に一段階ブレークダウンした週次の目標を設定します。こちらは日次の行動が月次の目標と繋がっていくための日次目標の合計と考えます。また、休日の区切りが入るので、1週間で追いかけるゴールを設定するとよいでしょう。
週次KPIの項目例
週次KPI例 | 詳細 |
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アポイント獲得数 | 1週間でのアポイント獲得目標です。日によってアポイント取得のために使える時間にばらつきがあるかと思うので、1週間の中でバランスを取りながら目標を達成する出来るように週次KPIとします。 |
訪問数 | 1週間で担保すべき訪問数です。週次の訪問数目標を前提として、事前準備やアフターフォローの時間も確保する必要があります。そうした時間も含めて回るように考えていきましょう。 |
見積まで行った数 | 1週間の訪問企業の中で見積りの送付までいった企業数です。訪問企業の中で安定した割合で興味を持ってもらえているかを図る指標となります。 |
日次目標|目標達成のためのタスクを1日に落とした時の定量目標
最後に日単位での数値目標を設計します。下の例ではアポイント獲得数を基準としました。アポイントに対する行動量の目安を設計すると、まずはそこまで頑張ろう!と鼓舞することが出来ます。もし行動量を満たしていて、アポイント獲得数に達していないとすれば、方法の改善をしたほうが良いなどのボトルネックの発見にもつながります。また、迷わずアクション出来るようにマニュアルやテンプレートを作成し、担当者の行動をサポートする必要があります。
日次KPIの項目例
日次KPI例 | 詳細 |
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架電数 | アポイント獲得のための企業へ電話した数。電話番号や企業概要などが記載された営業リストとトークスクリプトの準備が必要になります。 |
メール送信数 | アポイントの獲得のために企業への訪問依頼メールを送信した回数。こちらも営業リストとメールテンプレートがになります。 |
アポイント獲得数 | 上記2つの行動目標量に対する結果。架電数とメール送信数に対するアポイント獲得率の目標です。再現性が高い方法を見つけ出すことが大切になります。 |
営業マネジメント|マネージャー都合のPDCAは回らない
営業戦略を成功に導くにはKPIをそれぞれの担当者に対して改善し続ける仕組みが必要です。最後に営業部隊のマネジメント方法についてご説明します。
営業担当者の目的と組織やマネージャーの目的は違う
前提としてご理解いただきたいのが、現場目線の営業担当者と企業目線の組織やマネージャーの目的がずれているという事です。
各担当者は自身の利益を求め、マネージャーや組織は企業としての利益を求めます。
なので、目的設計やその後の改善においても企業と一担当者の求めるものにズレが生じます。
では、担当者目線では自身の努力がどんなものに反映されると良いと考えると思いますか?
担当者のタイプにもより求めるものは大きく3種類に分かれます。
- スキルアップ|自身の能力が上がると実感できる
- 給与アップ|自身の頑張りが適切に給与に反映されている
- 職位アップ|職位アップの道のりが明確である
そして組織が求める目標は
- 利益
- 売上アップ
- コスト削減
です。
これらの個人と組織の目的を関連させて、各個人のモチベーションが上がる行動をすることによって組織の目的が達成されるように設計します。
個人のノウハウが会社に溜まっていく仕掛けと全員に浸透させる仕掛けが必要
スキル・給与・職位アップと会社の利益アップの双方を満たすためには、個人で培った成功例が会社全体に浸透する仕掛けが必要となります。
全員の営業スキルが底上げされ、組織として再現性が高い売上を立て続けられるようになり、かつマニュアルやテンプレートとしてノウハウが明確になれば営業担当者の出世や給与のロードマップが引けるようになります。
ノウハウ蓄積の仕掛けのポイントは、結果と過程両方に対して評価軸を設定することです。
例えば、顧客との商談の中での説明として響いた例やヒアリングとして有効だった項目などをレポートとして提出するなどが考えられます。
そしてそれらのレポート内容を定期的に精査し、マニュアルやテンプレートに落とし込み、全員に浸透させる運用が必要となります。
自己重要感を高めることで組織の居心地を良くすることができます
上記のような仕組みと並行して、各担当者とのコミュニケーションを図ることでエンゲージメントを高めることが出来ます。
ポイントとなるのは自己重要感です。
自己重要感とは、自分自身の存在意義を感じられること、平たく言うと自分が生きている価値を感じられていることです(自己肯定感とも言います)。
組織にあてはめるとその組織が個人を必要としていると感じてもらえるようにすることです。
売上を上げる機能として営業担当を見るのではなく、その人にフォーカスしていると感じてもらうことが大切となります。具体的には以下のような行動があります。
- 雑談の時間を意図的に設ける
- 毎日の声かけを行う
- 担当者のレポートや結果に対してのフィードバック
マニュアルやテンプレートのような戦略的な思考とこうした地道なコミュニケーションの双方を続けていくことが営業マネジメントの職務です。
まとめとテンプレート
今回は営業の戦略とマネジメントについて1記事でご説明しました。いかがでしたでしょうか。1万字を超える長さとなってしまいましたが、全体像とその流れを理解しやすくするために1記事にまとめさせていただきました。
最後にテンプレートのURLを添付します。この記事と照らし合わせながらテンプレートを埋めていけば戦略の立案ができるようになっています。皆様の戦略立案のお役に立てれば幸いです。
ご質問やご不明点等がございましたらコメントでご連絡ください。
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