調査設計の手順と立てるときのコツ3つをご説明

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調査設計(ちょうさせっけい)とはマーケティングリサーチをする前に何をするかを決めることを指します。そして調査設計はマーケティングリサーチの成否を決めると言われているくらい重要な工程です。みなさんがもしマーケティングリサーチしようとお考えなら必ず調査設計については押さえておきましょう。

そこで本記事では、調査設計を以下の4つの項目でご説明していきます。

  • 調査設計とは
  • 調査設計の必要性
  • 調査設計の立て方
  • 調査設計の手順
目次

調査設計とは

まず調査設計がどういうものかについてご説明していきます。調査設計、調査課題、調査企画、調査計画と似た単語がたくさん出てくるので、混同しないように注意しましょう、

調査設計とは調査課題を解決するための手順と方法を設計すること

導入文で「調査設計とはマーケティングリサーチをする前に何をするかを決めること」と説明しましたが、より具体的に言い換えると「調査課題を解決するための手順と方法を設計すること」となります。

調査課題とは調査で明らかにすべき問いであり、目的と言い換えることもできます。

以下の図で調査設計の位置づけをご説明します。

事業があって事業の課題があって、その課題の原因究明か実情把握のためにマーケティングリサーチがあります。そしてそのマーケティングリサーチの方法や手段を定義するのが調査設計です。

この図からもわかるように市場調査(=マーケティングリサーチ)は、まずマーケティング課題があって、それを解決するマーケティング施策を決定するために行います。何となく調査することがないようにしましょう

調査企画、調査計画との違い

調べていくと、「調査設計」「調査企画」「調査計画」と似たような言葉が出てきて混乱します。ここで整理しておきます。

結論から申し上げますとほぼ同義と考えてよいです。マーケティングリサーチで何をするかを定義する行動のことを指します。

調べた中でのニュアンスの違いは以下のようなモノでした。

  • 調査企画:ヒアリング項目の作成
  • 調査計画:アクションとスケジュールの作成
  • 調査設計:調査企画と調査計画を合わせたもの

調査設計の必要性

次に調査設計の必要性についてご説明します。余計なことをせずに直接リサーチすれば良いのではないかと思うかと思いますが、必ず設計すべきです。それには以下の理由があります。

  • マーケティングリサーチを成功させるため
  • マーケティングリサーチを素早く行うため
  • マーケティングリサーチを人に伝えるため

調査設計を行う理由①マーケティングリサーチを成功させるため

調査設計を行うことによりマーケティングリサーチの効果を高めることが出来ます。

前章でご説明したように、マーケティングリサーチはマーケティング課題を解決する施策を決定するために行います。

そして、マーケティング課題と答えるべき問いを定義するのが調査設計です。

調査設計が無ければ、何となく詳しくなるだけの調査になってしまい、事業に対するリターンがなくなってしまいます。

調査設計を行う理由②マーケティングリサーチを素早く行うため

実際にやってみていただくと分かるのですが、調査設計をしておかないとマーケティングリサーチは終わりません。

情報が多すぎて、終わりのタイミングが分からないからです。

調査におけるゴールは調査設計のタイミングで定義します。何の情報が手に入れば目的達成とするかを調査設計の段階で細かく定義していきます。

調査設計を行う理由③マーケティングリサーチを人に伝えるため

マーケティングリサーチは事業を動かすために行います。したがって必ず人に伝える必要が出てきます。

その時に、調査背景や調査目的がしっかりしていないと相手はなぜこの調査が必要なのか分かりません。

調査結果の報告ためにも調査設計をしましょう。

調査設計の立て方は情報の取得方法で2つに分類される

情報を得る方法には大きく2つの方法があります。さがす情報とつくる情報です。

(本章の参考文献:外資系コンサルのリサーチ技法: 事象を観察し本質を見抜くスキル)

情報を得る方法詳細
情報をさがす 過去のデータなど、既に分かっている情報。主にデスクトップリサーチで得られる情報。
情報をつくる 公文書などには載っていない個別具体的な情報。主にヒアリングなどから得られる情報。

情報の取得方法①情報をさがす

さがす情報とは文献や統計データなどすでに分かっているマクロな視点の情報を得たいときに用いる方法です。

トレンドや業界構造などの把握に有効です。

一般に、情報をさがす際、以下のような方法で調査します。

  • WEB
  • 文献
  • 記事
  • 統計データ
  • アンケート

情報の取得方法②情報をつくる

さがして得た情報をさらに深堀りするときには、新たに情報をつくっていきます。対象者へのヒアリングや観察によりインサイトの深堀りをしていきます。

一般に用いられる方法は以下です。

  • アンケート調査
  • グループインタビュー
  • デプスインタビュー
  • ソーシャルリスニング
  • ニューロリサーチ
  • 訪問観察調査
  • ミステリーショッピングリサーチ
  • ショップアロング調査

以下の記事でマーケティングリサーチの方法を詳しくご説明していますので、是非ご覧ください。
【マーケティングリサーチの実施方法全15種類と選び方を段階別・対象者別に解説 】

また本章は以下の文献を参考にしています。実際のプロの現場のマーケティングリサーチのケーススタディを見たい方はぜひ手に取ってみてください。

著:アクセンチュア 製造・流通本部 一般消費財業界グループ, 著:宮尾 大志
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調査設計の手順

ここから調査設計のステップをご紹介していきます。調査設計は大きく7つのステップで進めていきます。

調査設計の手順は7つ

調査設計の手順7つを以下に示します。

  1. 背景の説明
  2. 課題の定義
  3. 目的の設定
  4. 答えるべき問いの具体化
  5. 当たる情報ソースの絞り込み
  6. 調査の順番の整理
  7. アウトプットイメージの作成

調査設計の手順①背景の定義

まずこの調査を行うきっかけを定義します。きっかけとなった現象やそれに対して起こしたアクションを整理しておくと、その後の課題の定義や目的の設定をする際に可視化されるので論理構造が作りやすくなります。

調査設計の手順②課題の定義

事業におけるマーケティング課題を定義します。背景で明らかにした事実の本質的な課題がどこにあるのかを掘り下げていきます。

起きた事象とその原因として考えられるもの、その中で最もボトルネックになっているものは何かを深堀していくとよいでしょう。

調査設計の手順③目的の設定

次に調査の目的を設定します。定義したマーケティング課題に対して調査で何を明らかにするのかを言語化します。

調査設計の手順④答えるべき問いの具体化

設定した目的を明らかにするために答えるべき問いを具体化します。答えを得るために多角的な視点で質問に落とし込んでいきます。

調査設計の手順⑤当たる情報ソースの絞り込み

答えるべき問いが具体化されたら、それらの問いの答えがどの情報ソースを当たれば見つかるかを絞り込んでいきます。

ソースのイメージが具体的であるほど効率よく調査が進みます。可能な限りアクションまで落とし込んでいきましょう。

調査設計の手順⑥調査の順番の整理

それぞれの問いに対しての情報ソースが定義出来たら、それらをどの順番でどれくらいの時間をかけて行うかを整理していきます。

ゴールから逆算してそれぞれどれくらいの時間なら使っても大丈夫かを考えていきます。

タスクの整理に便利なテンプレートを以下のURLからダウンロード出来ますのでお使いください。
WBSテンプレート<新規事業開発ノート>

調査設計の手順⑦アウトプットイメージの作成

最後にアウトプットをどのように行うかを作成します。

Power PointやWordなどの様式やグラフを使うのか、図にするのか、文章で記すのかを事前にイメージしておきます。

アウトラインを作っておくのも有効です。以下で市場調査報告書の項目を確認できますのでそちらもご覧ください。
市場調査報告書の項目や構成を事例を交えてご紹介

調査設計のコツ3つ

この章ではマーケティングリサーチを成功させるための調査設計のコツを3つご紹介します。

  • 流れがしっかりとしていること
  • 調査範囲を絞り込むこと
  • 事業に反映出来る調査になっていること

調査設計のコツ①流れがしっかりしていること

1つ目の調査設計のコツは全体の流れを明確にすることです。具体的に言うと目的と方法がアウトプットイメージと連動していることです。

何のために調査を行い、そのためにどういう方法を用い、なぜその方法を用いるのかが具体的だと迷わずに調査を進めることが出来ます。

反対に流れが悪いと作業しながら違和感を感じたり、考える時間が発生し進捗が悪くなってしまいます。

調査設計のコツ②調査範囲を絞り込むこと

2つ目の調査設計のコツは調査範囲を徹底的に絞り込むことです。理由は2つあります。

  • 効率的な調査のため
  • 無駄な情報をそぎ落とすため

効率的な調査のため

実際に調査すると膨大な情報の取捨選択を行う必要が出てきます。その時に自分なりの仮説を持って調査範囲の絞り込みが出来ていると、もしその範囲内に必要な情報が無くても、そこから新たな仮説で調査範囲を設定出来ます。

反対に、調査範囲を広く抽象的にしてしまうと仮説も抽象的になってしまいます。そうなると見つからない場合の対応が出来ず結果的により多くの時間を消費してしまいます。

無駄な情報をそぎ落とすため

つい不安なので色々な情報を調べたくなってしまいますが、目的と連動しない情報は受け取る人に理解できません。

またご自身で振り返るときも、情報が増えて、理解しにくくなるので最後にまとめるのに苦労します。

調査設計のコツ③複数の調査方法を組み合わせること

3つ目の調査設計のコツは複数の調査方法を組み合わせることです。組み合わせることにより単なる調査で終わらずに、事業の施策に反映させることが出来る調査となります。。

例えば、「まずは全体を理解する文献や統計データの整理を行い、そこから出てくる仮説に対してアンケート調査を行い、プロトタイプ作成後にはユーステストで使用感をヒアリングする。」のように組み合わせて行うことで事業に対する確かな根拠となり、事業の判断基準となります。

まとめ

今回はマーケティングリサーチの準備段階「調査設計」についてご説明しました。マーケティングリサーチにおいてとにかく重要な調査設計ですので、こちらでしっかり押さえてください。

その他マーケティングリサーチ関連の記事をこちらにまとめていますので合わせてごらんください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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