サロンや美容室での集客やマーケティングがなぜうまくいかない?500記事分析してわかったマーケティング施策の原則

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目次

なぜ新規事業開発部の私がサロン向けのマーケティングについて記述するのか

私は普段、新規事業の立ち上げで事業の企画やマーケティング分析、海外事業部のマネジメントなどを行っています。今回の新規事業開発ノートでの実践編としてサロン向けの事業の事業計画や営業・マーケティング戦略をアップロードしていこうと考えています。

その調査の一環としてサロンマーケティング関連の記事を調べていたところ非常に複雑だと感じました。

そこで、私が事業立ち上げの際に経験した

  • 何から始めたらよいかわからない・・・
  • 戦略を立てても実際に動かない・・・

の中で培った集客やマーケティングの方法をサロンや美容室向けにカスタマイズしたものを説明します。

また、本記事は10000万字の長文となってしまいました・・・。

なるべく簡潔に記載したつもりですが、時々分かりにくいところもあるかもしれません。そういう時は随時コメントしていただければ修正致します。

この記事が最も短いサロンマーケティングの指南書となるようブラッシュアップしていきますので、是非お力をお借りできればと思っています。

こちらと最後にはサロンマーケティング向けの戦略テンプレートを配置しております。 

サロンマーケティングテンプレート.xlsx

こちらでダウンロードしていただき、以下の説明とともに埋めていっていただいても良いですし、読み切ってから使っていただいてももちろん良いです。少しでも助けになれば幸いです^^

それでは本編へどうぞ↓

サロンや美容室でのマーケティングがうまくいかない原因

世の中に美容室や集客のマーケティングの情報は5万とありますが、情報が広すぎてやり方がわからないというのが多いのではないでしょうか。そこでこの章では、サロンマーケティングでうまくいかない原因を記載します。

細かく考えすぎる

とにかくこだわってしまい現状からかけ離れた計画をしてしまう。そんな経験はありませんか?論理的には正しいことをしたはずなのに、サロンとしては動かない・・・。ということは良く起こると思います。そこでまず何か新しい試みを始めると時に強く念じていただきたいのが、「完璧主義は失敗する」です。完璧な計画は実際に動かしてみると組織が動かず失敗します。従業員が動かないからです。

ふわっとしている

なんとなくの方向性は理解できても明確に自分の業務の一環として認識できないものは従業員は動いてくれません。ビジョンへの共感や、経営陣(≒マネージャー)への尊敬があることは経営するうえでとても重要なことですが、尊敬するあなたからの指示であったとしても受け手側が自分の行動として簡単に理解できるものでなければ、施策は動きません・・・。

途中で断念する

ここでいう途中というのは、サロン全体ではなく局所的であるということです。もちろんいきなり全部は進められないので、段階的に進めていくことになると思いますが、その前段としてサロン全体の戦略を立て切らなければ、各セクション(例えば、集客におけるSNS発信などの局所的な施策)は動きません。それぞれの従業員は、サロンの方針が理解できなければ自身の行動につながりません。これは私も実際に経験したことですが、各スタッフに対して明確な指針を示しても最低限のゴールとネクストアクションが理解できないと組織は動きません。

以上のようにサロンマーケティングではいくら経営陣が詳しくてもうまくいかない場合があります。

次の章で、実際に施策を進めるための原則をご説明します。

サロンマーケティングの原則3か条

本章では前章のサロンマーケティングがうまくいかない原因に対しての解決方針を3つご説明します。本章を踏まえて次章の施策の手順をご確認ください。

ざっくり通しで考える(全体感)

まずはサロン全体から今もっとも必要なことは何かという視点で考えましょう。大切なことは「部分最適=部署やスタイリスト単位」ではなく「全体最適=サロン全体の経営」です。いくら”点”で考えたときに良いアイディアだったとしても組織全体として有効な手ではなければ最終的にうまく組織が動きません。特に深く考えているとふと点で素晴らしいアイディアが思いついてしまうときがあります。それが良いアイディアであるほど推し進めたくなってしまうのですが、一度全体の視点に立ち戻り判断するようにしましょう。

そしてこの全体で考えるためにはとにかく最初から最後まで考えきることが大切です。どれだけ粗くても問題ないので全てについて分析を行うことで全体の中のボトルネックが見えてきます。逆にどこかで止まって考え込んでしまうのは良くありません。考え込んでしまうようでしたら何について考え込んでいるかをメモして次に進めましょう。特に始めて行う場合は問題だらけでどこかで止まると組織が動く前に力尽きてしまいます。非完璧主義で進めていきましょう。

出来る小さなことから始める(絞り込み)

全体が見えたら今の現状であなたのサロンが出来ることは何かを絞り込んでいきます。

論理的に正しいことと組織が動くことは違う場合が多いです。特にこんな記事を見つけて頂けるほど深く考え、調べておられるあなたのような方が考えたことは恐らく、間違っていないと思います。しかし、その戦略や施策が現状から距離があるといきなり始めてもまず動きません(私自身、いやというほど経験させてもらいました・・・。)。

何かを新しく行う場合は必ずスモールステップで始めることを心がけましょう。

ここまで来ると全体を把握していて、絞り込みが出来ているので、従業員に説明する際に「我々のサロンは○○です。そこで○○から始めていき、最終的には○○を目指します。」と説明することが出来ます。

全体と最初と目標が見えていると行動が分かれば人は動きます。経営やマーケティングの経験がない方々(従業員)も行動の指示だけでは戸惑ってしまい、動いてくれないということをよく経験しました。彼らに自分の考えを理解してもらう必要があります。

明確な行動マニュアルに落とし込む(行動化)

そして最後は今まで考えてきたことを、絶対に他の行動をしなくて済むくらい分かりやすく行動に落とし込む必要があります。

理解しておいてほしいのは、あなたは業界の専門家であり、他の従業員よりサロンについて考えているということです。

あなたの考えを各スタッフに実行してもらうためには誰が聞いても絶対に間違わないくらいわかりやすく・具体的な行動を支持する必要があります。それこそあなたのお子様が聞いても理解できるくらいに・・・。実際にトライしていただくとわかるとおもうのですが、それでもご自身の前提が多く、他の方が理解できないことが多々起こると思ういます。そんな時も彼らを怒るのではなく、説明の修正を繰り返していく忍耐が必要となります。

ここまで、失敗の原因とうまくいくための方針という抽象度の高い説明をしてきました。次章でようやくサロンマーケティングの構成と手順について説明していきます。次章の手順で進めていて、もし詰まったときは、是非、本章までに説明してきました原則や原因を見返していただきご自身の戦略を整理してみてください。

サロンマーケティングの構成と手順

ここからサロンマーケティングの戦略と施策の構成と実際の進め方について説明していきます。下図をご覧ください。

まずPhase1として戦略(大きな方向性)の定義の仕方について説明していきます。次にPhase2で戦術として具体的な施策を3つに分けて定義していきます。そして最後にPhase1とPhase2で考えた戦略・戦術をお客様の利用に合わせて当てはめていきます。

Phase1:戦略|サロン・顧客・サービスの定義

まずPhase1として①あなたが何者で、②誰に対して、③どんなサービスを提供するのかを定義していきます。

ここではAs is/Tobeとペルソナという考え方を用います。

それぞれ簡単にご説明すると・・・

  • As is/To be:現状(As is)と目標(To be)を定義し、そのギャップ(問題)を埋めるために何をすべきか(How)を考える方法。
  • ペルソナ:想定される顧客の代表例を1人の仮想のお客様として、プロフィールや人物像を分析~定義する方法。一般に、土地柄(地理的)、性別や家族(人口動態)、趣味嗜好(心理)、購買(行動)の4つの軸で定義していきます。

Phase1-1:あなたが何者か|サロンの方針

それではまずあなたのサロンの定義から始めます。ここではあなたがお客様に対して何をしたいか、という軸で考えましょう。

今のお客様はどんな方か(現状|as is)

今あなたのサロンに来てくださっているお客様の特徴を思いつく限り列挙しましょう。こういったアイディアだしのタイミングでは周囲の人と会話しながら進めると停滞せずに進むことが多いです。

どんなお客様に来ていただきたいか、もしくは今の客様がどんなお客様になっていただきたいか(目標|to be)

次にサロンをどうしていきたいかを考えます。特にサロンのような個人向けのサービス業であるならばお客様に対して何をしたいか、ご自身の思いを明確にします。

現状と既存のギャップをどう埋めるか(手段|how)

そして最後にその現状と目標をどうやって埋めるかを考えます。最初は質より量でどんどんアイディアを出し、最終的に簡潔になるまで磨き上げていきます。

Phase1-2:お客様はどんな方か|お客様の定義

次にお客様の定義をします。特にVIP客の定義に限定して掘り下げていきます。

VIP客の定義

まずあなたのサロンにとってのVIP客の定義をします。なぜならVIP客はあなたのサロンの売上の多くを少数で占めるからです(全体の2割のVIP客が売上の8割を占めていたというサロンの例もございます|パレードの法則)。

そしてこうしたVIP客はあなたのサロンのセールスマンとして知人や友人への口コミやSNSへの投稿など、簡単な数値だけでは見えない素晴らしい影響をたくさん与えてくれます。

それになにより、ご自身のサロンのことを重宝してくださっているお客様をもっと理解して大切に接客できることは、サロンのスタッフにとっても喜ばしいことではないでしょうか。


VIP客のペルソナ分析

なんとなくVIP客のイメージが頭の中に浮かんで来たら、そのイメージの代表例の人を仮想で設定して、さらに深く掘り下げていきます。下の表のように趣味嗜好や興味について分析していきます。下表の項目がわかっていれば、同じ趣味嗜好や興味を持つ人はあなたのサロンにも興味を持ち、VIP客になってくださる可能性があります。

知りたい項目その理由
どんなファッションが好きか髪型の提案に役立つ
興味があることは何かコンテンツの企画や集客の場所の参考になる
どういうところに出かけるかシーンごとのヘアセットや髪型の参考になる
どういう人たちにあることが多いかカジュアルかフォーマルか、などの推測が可能

Phase1-3:お客様は何を求めているか|顧客への価値(サービス)提供

そしてPhase1の最後にお客様へのサービスの軸を定義します。これはあなたのサロンのお客様が何を求めて来店し、あなたのサロンがお客様の求めていることにどう答えるのかを考えるものです。

お客様はご自身の現状をどう思っているでしょうか(現状|as is)

まずお客様は来店前にご自身の現状をどう感じているのでしょうか。少なからず来店という行動をするためには何か求めているモノがあるかと思います。「髪が伸びてきた」「色が抜けてきた」などはあくまで現象なのでもう一段階掘り下げます。例えば、周囲に見られたい像があって、今のヘアスタイルではそれが実現できない。といった感じです。

お客様は何を求めて来店されるのでしょうか(目標|to be)

上項の現状での不満に対して、どういう状態が理想なのか定義します。例えば、週末は華やかで映えるゴージャスな雰囲気が良いが、平日はとにかく眠たいので適当でもそれなりに見える髪型が良い。などでしょうか。それとも、休日に寝て過ごすのではなく、朝から美容室に行き、きれいにしてもらって充実した休みの日を過ごしたいのでしょうか。

そして少し立ち止まって考えていただきたいのですが、この理想は髪型だけで達成出来るでしょうか。美容業界の人として持っている情報や経験の中でお客様に提供できるものはないでしょうか。顧客への価値提供はヘアカットやカラーリングだけではありません。

あなたのサロンはどんなサービスでその問題を解決しますか(手段|how)

理想の状態が定義出来たら、現状とのギャップをどうやって埋めるかを考えます。目標の項目でご説明したように、ギャップの埋め方は何も施術だけには限りません。例えば、あなたが髪型を提案するときにイメージした服装や小物のおすすめをしても良いかもしれませんし、ヘアセットやヘアケアの方法をお伝えしても良いでしょう。業界的にファッションや美容の情報が入ってくることも多いと思います。

他にもきれいな髪型で過ごすと気分が上がったりしませんか?そしたらその状態で過ごすための場所の提供や、近くのおすすめのカフェをお伝えするだけでも満足度は上がるかもしれませんね。

手段は無数に存在します。そこであなたのサロンの軸を決めることをお勧めします。私のサロンでは○○を提供します。と簡潔に説明できるようであれば軸が決まったと言えるでしょう。


ここまで来ると、あなたのサロンの大枠を定義できたことになります。次の項の説明に当てはめていくとあなたのサロンとサービスをシンプルに説明することが出来ます。

自社 or サービス説明

本項ではサービスの説明の枠組みをご説明します。今回ご紹介するのはwhy→how→whatの順番に、PREPを追加した構成になっています。他にも説明の順番にはFABECやPASONAなど複数の型があります。もし興味ある方は「プレゼン フレームワーク」などで検索してみてください(参考資料:プレゼンの構成で差をつけろ!プロが教える使えるフレーム9選 

  • who(自己紹介・結論)|あなたは何者で顧客に何を提供するのか
  • why(理由・メリット)|なぜそのサービスをしているのか、もしくは始めようと思ったのか
  • how(方法)|どうやってそのサービスを行うのか
  • what(サービスの軸)|具体的にイメージできるように提供物の説明

ココでのポイントはwhatが最後に来ることです。普段話すとき我々はそれが何かを説明し(what)、どうやって使うかを説明し(how)、なぜ必要なのかを説明しがちです(why)。しかし、人はいきなり具体案を出されても理解できずに拒絶してしまう場合があります。そこで、理由を説明し、使い方を説明し、最後に具体案を説明すると想像力が掻き立てられ興味を持ちやすいです。

またその前にあなたの自己紹介を入れておくと初めて目にする人の不安が薄れより内容に対する抵抗が薄れます。

who(自己紹介・結論)|あなたは何者で顧客に何を提供するのか

まずはあなたが何者かを説明します。特に説明するサービスやサロンに説得力が増す物が良いです。

why(理由・メリット)|なぜサービス(or サロン)をしているのか、もしくは始めようと思ったのか

理由やきっかけを説明します。メリットを想像できるものですとなお良いです。

how(方法)|どうやってそのサービスを行うのか

その方法を説明します。理由に対して納得感があるものが良いです。

what(サービスの軸)|具体的にイメージできるように提供物の説明

最後に内容を説明します。覚えやすい1文にすると良いです。また、即決しやすいように価格や時間なども明示してあげると良いです。

サービス説明例|ヘアケア商品 ※仮想の商品に対する説明であり科学根拠等はありません

例えば実例として、ヘアケアサービスのメニューを紹介するとしましょう。まずこちらをご覧ください。

who(自己紹介・結論)|私は美容師として5年間、毎日お客様の髪を見てきました。ありがたいことに老若男女問わず、本当にたくさんの方にご来店頂いております。

why(理由・メリット)|その中で年々髪につやが出てくるお客様と徐々に痛んで細くなっていくお客様がいることに気づきました。しかもそのお客様は年齢や性別に寄りません。

how(方法)|あるとき、気になっていつも髪ツヤのあるお客様に聞いてみました。そしたら彼女はいつもシャンプーの時にある人手間を加えていることが分かりました。そして、他の髪の手入れが行き届いているお客様にも3か月間かけてヒアリングしたところ髪の状態が良いお客様は皆さん、このお手入れ方法を使っていました。

what(サービスの軸)|今回、そんな秘伝の民間療法に本サロン独自の○○も配合し、髪ツヤよく、さらにスタイリングしやすい髪になるよなヘアケアサービスを開発しました。初回キャンペーンで500円で行います!時間もあまりかからないので是非お試しください!

・・・どこかで見たことあるような宣伝文句になっているのではないでしょうか。笑

こちらは架空の商品に対して想像で作ったので、信憑性薄いかもしれませんが、貴サロン向けの説明を知りたいと思ってくださった方がいらっしゃいましたら、お問い合わせください。

競合との差別化|STP、USP

ここまで自分たちのことについて徹底的に掘り下げてきました。いかがでしたでしょうか。なんとなく理解していた自分たちのサロンやサービスのことも少し明確になってきたのではないでしょうか。

自分について理解したら次は競争相手について理解します。元々、私や他のコンサルのように外様ではなく、ご自身で現場に立たれたり、経営をされてきたあなたが自分たちのことを分析すると我々では分からない空気感や感覚があります。そこにマーケティングの視点が加わるので、競合の理解も圧倒的に深くなっていると思います。

本項では競合分析でよく用いられるSTP分析というフレームワークとUSPという考え方をご紹介します。

STP

STPとはSegmentation、Targeting、Positioningをつなげた言葉であり、どこの誰に対してどういう位置づけを取るかを考えるフレームワークです。

やり方は複数ありますが、この記事では簡潔に2軸で定義する方法を説明します。

下図は分析の一例です。イメージはかなり狭いエリアでご近所の方の集客手段として考えてみました。もちろんこちらはかなり粗いモノです。本分析のイメージをつかんでもらえれば十分です。詳細は別記事で説明しますので、そちらをご覧ください。

手順

  1. 業界を絞る
    美容業界といっても広すぎます。エリアや対象の顧客の特徴などで絞ります。今回は地区の女性としていますが、実際はこれだと広すぎる場合があります。
  2. 軸を定義する
    絞り込んだ中での競合となりそうな企業を確認し、軸を定義します。価格や手軽さ、高級感などの軸の中からあなたの競合をまとめて評価できる軸を探します。
  3. 位置付ける
    軸が絞り込めたらその2軸のマップ内に競合の位置づけをプロットしていきます。根拠があるに越したことはないですが、実際は感覚的に評価していくことが多いです。

簡潔で魅力的な独自のセールスポイントを考える|USP(Unique Selling Proposition)

貴サロンの定義や競合分析が終わったら、簡潔な一文でお客様をひきつけます。これをUSP(Unique Selling Proposition)と言います。元々は広告業界で使われていた言葉です。

あなたのサロンや競合を分析してきた中で、あなたのサロンが他のサロンとは異なる点や優れている点はどこでしょうか。それを魅力的な言葉に変換すると何になるかを考えます。

2段階で考えていきます。

  1. まずあなたのサロンの独自の魅力や優れている点を過不足なく伝える言葉を考える(この時、文章自体の魅力やキャッチ―かどうかは気にせず、あくまで正しく伝えることを目的とする)
  2. 次にそれを人の目に止まりやすい魅力的な言葉に置き換える

段階を分ける理由は、いきなり②を行うと言葉作りに注力し、肝心のあなたのサロンの魅力が漏れてしまったり、ずれてしまったりするからです。

ここまでやってきた分析の簡潔な結論のつもりで1文を定義しましょう。

Phase2:戦術|コンテンツ、コミュニケーション、体験ごとの施策の定義

ここから具体的な戦術(施策)の分析を行います。まず施策をするうえで知っておいてほしい3つの指針を説明します。次に3つのカテゴリごとに指針を説明します。

新規顧客ではなくリピート率を上げる施策を優先する

施策を考えるうえでまず定義としていただきたいのは、新しいお客様を増やす施策なのか既存のお客様のエンゲージメントを高める施策なのかです。エンゲージメントとはつながりの強さを表す言葉です。サロンの場合なら知っている、通ったことがある、通っている、友達にも紹介している・・・などがエンゲージメントの程度を表すでしょうか。そして、施策を打つ上で繰り返し通ってくださる、もしくは友人に紹介してくれることにつながる施策を優先的に行いましょう。

なぜならいくら新規顧客流入を創出してもリピート率が低いとそのための費用や工数をかけ続けなければならず、続けることが困難だからです。

通常業務に加えて、こうしたマーケティング施策のための業務を強いるのは従業員に負担を書けるのではないでしょうか。また、マネジメントとしても強制するのはツラいはずです。

反対に、エンゲージメントが高いとリピート率が上がり、集客の効率がとても良いです。また、友人を呼んでくれたり集客にも貢献してくれます。何よりあなたのサロンが好きなお客様が増えたら嬉しいですよね。。

TwitterやInstagramなどSNS毎の施策を考えない

ついマーケティング施策を考えようとするとInstagramやYouTubeなどそれぞれのSNS毎に考えがちです。

もちろんそれも有効なんですが、流入までに時間がかかります。

それよりも既存のお客様や来てくださるお客様向けに最適な方法(SNS)で施策を打つほうがファン化出来ますし、拡散も期待できます。

また、現在のWEBマーケティングだとそれぞれのSNSを使いこなして総合的に組織のエンゲージメントを上げる方法が一般的です。

なので以下で説明するようなカテゴリ毎に施策を考えてその手段として各SNSを使うことをお勧めします。

簡単で明確な行動に落とし込む

そして施策を考える際に最も重要なのが他の方が見て、簡単に理解できる明快な行動に落とし込むことです。上述の失敗の原因にあったようにいくら優秀な戦略や戦術でも行動化されていなければ、その施策は進みません。

また、行動の定義も初めからうまくいくことのほうが少ないので、何度も見直してようやく・・・といった感じです。

行動の回数や頻度、期限、手順を明らかにして、小学生でもわかるような簡潔な説明にしましょう。

コンテンツ・コミュニケーション・体験に対して施策を立てる

次にようやく施策を立てます。ここで私がお勧めしたいのが、コンテンツ・コミュニケーション・体験の3軸に対して施策を立てることです。前述のようにSNS毎に施策を考えてしまうと目的が施策がずれてしまいます(一つの目的に対して複数のSNSを連動させて達成するから)。

また、新規顧客獲得やリピート率向上のための施策としない理由は、広すぎてうまくまとまらないからです。次章で詳しく説明しますが、お客様の動きに対して施策を当てはめていった結果最終的に新規顧客の獲得やリピート率の向上に繋がる流れが出来ます。なので施策を立てる段階ではブレークダウンした施策が有効です。

それでは以下でなぜコンテンツとコミュニケーションと体験に対する施策が必要なのかを解説していきます。

コンテンツ|顧客が知りたいこと・共感できることは何か

現代はコンテンツマーケティングの時代です。コンテンツマーケティングは資金力によらず、小さい場所でも大手と張り合えるマーケティングです。あなたが知っていて顧客が知りたい情報は何でしょうか。

もし新規顧客を獲得するのなら、美容室あるあるや髪型とファッションの関係などでしょうか。方針としては広く、美容やヘア関連の情報に興味がある人に対する情報発信になります。この時、あなたのサロンと直接関係のない情報であったとしても情報が有益であれば発信者も信頼を勝ち得ます。なので、あくまでお客様が何を知りたがっているかに焦点を当てましょう。

また既存顧客に対しては、ヘアケアやヘアセットなど施術と関連する情報を提供することでサービスの質を向上することが出来ます。他にもファッションや美容などヘアスタイルに合わせることが出来るものを提供するとサロンの強みになるでしょう。反対にその失敗例をコンテンツにすれば共感を呼べるかもしれません。

まずはブレスト的に思いつくコンテンツを列挙してみましょう。

コミュニケーション|顧客の不安とストレスを無くす

コミュニケーションとは信頼関係構築と手間を減らす2種類が考えられます。

まず信頼関係構築から説明していきます。お客様の目線で考えていただきたいのですが、初回来店時に、何も知らない人に髪を切られるのは不安なものだと思いませんか。そこで信頼を獲得するためにはなじみの医者と患者という関係を目指しましょう。そのためには権威や専門性、自己開示とペーシングを組み合わせるとよいでしょう。いかにまとめたのでご確認下さい。

項目説明
権威性「あの人の言うことは正しそう」など無言の強制力が働くちからを、権威と呼びます。実績や評価や資格などを交えて話すと有効です。
専門性美容師としての信頼に直結します。専門的な知識を持っていることとそれをわかりやすく伝えることが必要となります。
自己開示自分のプライベート情報を話すことを言います。過去のトラウマ、コンプレックス、失敗談などを交えるとより信頼を勝ち得やすいです。
ペーシング相手の動きを追従することで自然と心を開いてもらうことを言います。具体的には、声の調子を合わせる・相手の動きをまねる(ミラーリング)・相手の話を繰り返す(バックトラッキング)などがあります。

体験|満足度の高い時間を過ごしてもらうためのサービス提供とは何か

サービスを考える上で顧客にどんな体験を提供するかは非常に大切です。

顧客にとってのサービスとは専門技能の施術ということももちろんありますが、それ以上に顧客の記憶に残る体験や経験を提供することで満足度が上がります。

あなたも見た目がおしゃれな状態で素敵なおもてなしをうけたら幸せな時間と感じられるのではないでしょうか。

例えば、待ち時間の飲み物の提供に工夫を凝らしても良いかもしれませんし、施術後に撮影ブースを設置し、写真撮影をしても良いでしょう。他にも何も準備や投資が必要ないモノでいえば、終わった後に優雅な時間を過ごしてもらえるようなカフェを紹介するのもよいでしょう。また、新サービスを提供するのなら、施術後に待合スペースをカフェとしてゆっくりしていっていただくのもありかもしれません。

施策のブレスト後は目的、内容、方法、行動の整理をする

コンテンツ、コミュニケーション、体験に対しての施策のアイディアを出した後は、それらを整理していきます。

整理すべき項目は以下のようになります。

項目説明
目的施策が達成したい目的を明らかにする
内容その内容を記述する
方法達成するための方法を分析する
行動達成するために実行すべき具体的なアクションを定義する

上記表のように施策が整理されていると、実現したい結果と具体的なアクションがつながるので、日々の業務を繰り返していくことで求めている結果を達成することができます。

Phase3:カスタマージャーニー|顧客の動きに合わせて施策を当てはめる

前述のように施策が定義されたら、最後に顧客の動きに合わせて施策をあてはめていき、全体の統一を図ります。

顧客の流れのステップは別記事のカスタマージャーニーに関する記事で詳しく説明しています。

一般的なサロンの顧客の流れ

ここではサロンにおける顧客の一般的な流れを説明します。

顧客の動き説明
1.存在を知る口コミやネット、SNSなどで存在を認知します。
2.他のサロンと比較する既存のサロンや、他のサロンと比較をします。比較サイトなどを用いて比較することが一般的です。
3.サロンを予約するサロンに行く決断をしたら、来店の予約をします。電話やサイトでのWEB予約をします。
4.実際に来店する来店します。遅刻やキャンセル防止の工夫や迷わない案内などでUI/UXの向上を図ります。他にも体験もこのフェーズで定義します。
5.来店後のアフターフォロー再来店のきっかけを作ります(お礼の連絡など)。
6.再来店リピートしてくださったお客様に他店に流れない仕掛けを定義します。

各フェーズごとに施策をあてはめていき、全体の統一を図ります

各フェーズ毎に前章で定義した施策(目的、内容、方法、行動)をあてはめていきます。

そして一連の流れを確認した時に、自社のコンセプトや強みに対して統一された施策になっているかを確認します。

それぞれの施策が優秀だったとしても全体として最適な流れになるまで何度も確認と修正を繰り返します。

まとめとテンプレート

今回はサロンのマーケティングに関して、実際に動かしていくために考えるべき内容も含めて説明していきました。

約13,000字の長文となってしまいましたが、この1記事でサロンのマーケティングの全体の定義ができます。

今回の記事の内容をテンプレートとしてまとめたものを以下に添付します。このテンプレートを記事を確認しながら埋めて頂ければサロン全体のマーケティングの定義が出来るように作成しました。
サロンマーケティングテンプレート.xlsx

もしわかりにくい点や間違いなどがございましたら是非ご指摘いただければと存じます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでもお役に立てれば幸いです^^

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