初心者向け【テンプレあり】ファイブフォースとはとその使用例

ファイブフォース分析とは・・・

業界を分析するフレームワークです。その業界の競争の状態や市場としての魅力(今後の可能性等)を明らかにするものです。これにより業界がどんな競争状況にあるかを把握でき、結果として、自社の立ち位置や新規参入時の戦略を考える際に使用します。

本記事ではファイブフォース分析について以下の内容を説明しています。初めての方やあまりなじみのない方にもすぐに使っていただけるように、利用するための説明にしてみました。前半で自分がファイブフォースのフレームワークを使うべきかについて、後半で実際の使い方について説明しています。最後に中身を埋めるだけで分析が完了するテンプレートも載せていますので、ご自身の状況に合わせてお使いください。

  • 特徴
  • 利用シーン
  • 利用目的
  • 構造
  • 分析手順

ファイブフォース分析の特徴

ファイブフォース分析は業界の構造を明らかにするミクロ分析手法の1種です。またミクロ分析の中でも外部環境を分析するモノです。

ミクロ分析|自社が属する業界と関係者(ステークホルダー)を明らかにする分析

ファイブフォースはミクロ経済学の1種です。ミクロ経済学とは「”経済主体の最小単位と定義する家計(消費者)、企業(生産者)、それらが経済的な取引を行う市場をその分析対象とし、世の中に存在する希少な資源の配分について研究する経済学の研究領域”(wikipediaより抜粋)」

とあるように自社の属する業界と関係者を明らかにして、自社の戦略を決定する経済学の分析手法です。

ミクロ経済学と対をなすのがマクロ経済学で国全体の状況を分析することで自社のビジネスの戦略を決定するものです。国民所得・失業率・インフレーション・投資・貿易収支などを変数として分析します。

マクロ分析として有名なフレームワークにPEST分析があります。

外部環境の分析手法

ファイブフォースはミクロ分析の中でも外部環境を明らかにする手法です。自分の置かれている業界に対して分析を行うものです。いわゆるマーケットインの考え方です。反対に自社の内部資産などを明らかにする内部環境の分析には3C等があります。

ファイブフォース分析の構造|価格の軸とライバルの軸で業界内の競争状況を明らかにします

この章ではファイブフォース分析の構造を説明します。ファイブフォース分析は5つの項目に分かれており、それぞれ1. 買い手、2. 売り手、3. 代替、4. 新規参入者、5. 既存企業に分かれます。1. 買い手、2. 売り手は価格に関わってくる項目で、3. 代替と4. 新規参入者が業界外のライバルになりうる企業を検討する項目となります。これらを統合し、自社の置かれている環境を明らかにしていきます。それぞれ順に説明していきます。

買い手の交渉力|買い手とのパワーバランスを分析する

対象の業界の顧客との関係性を分析します。他の企業へスイッチする際にいくらくらいかかるかや、顧客の数や購買力を調査し、買い手の交渉力が高くなる要素を考えます。例えば、携帯キャリアの乗り換えキャンペーンなどはスイッチングコストを下げる施策です。

売り手の交渉力|売り手とのパワーバランスを分析する

売り手とは対象業界に対するサプライヤーのことです。サプライヤーの規模や数などを調査し、売り手の交渉力を考察します。例えば、部品の一つの市場が独占状態だった場合、売り手の交渉力が強くなります。

代替品の脅威|代替品に取って代わられる可能性を分析する

代替品とは例えば、フィルムカメラ時代のデジタルカメラや、現在でいうところのUberのようなサービスなど、既存市場にとって代わる可能性がある商品やサービスのことを言います。代替品の脅威が大きい場合、対象市場が小さくなっていくことが予想されるため、正しく見積もることが必要です。

新規参入者の脅威|新規参入者の将来性を分析する

新規に参入した企業が対象市場でどの程度成長する可能性があるか、もし成長するとしたらどういった形で成長するのかを分析します。例えば、楽天が携帯キャリアに参入しましたが、楽天市場や楽天銀行など既存サービスとのシナジーを発揮しシェアを伸ばしていくことが考えられます。他には富士フィルムが化粧品業界に参入した時にはすでに知名度や技術力の信頼があったことなどが挙げられます。

業界内の敵対関係|既存企業の置かれている環境を明らかにする

最後に上記4つの外部要因から既存企業の状況を分析していきます。業界内の企業数や高校・集客方法とそのコスト、シェアなどを分析し、対象業界で競争力を高める方法を考えます。

利用シーンと目的

次にこの章ではどういったケースで利用されるのか、目的はなんなのかについて説明していきます。

利用シーン|参入撤退の経営判断や新規事業の企画

ファイブフォースは業界内の状況を明らかにするものです。したがって、その業界にそもそもうまみがあるのか、自社は今後どうすべきかなど、新規事業や事業の方向転換の際に用いられることが多いです。

利用目的|業界内のポジションの検討に有効

対象の市場の外部環境を明らかにするので自社のポジションや他社との競合優位性、差別化ポイントをどこに置くかを検討する際に有効です。

分析STEP

次に実際の分析の進め方について説明していきます。まずはルールを説明し、その後、5つのカテゴリに対してそれぞれどんな項目があるかについて、最後に実際の手順を説明します。記事末にテンプレートも載せていますので、是非最後までご覧ください。

ルール

  • 事業単位|自社の位置決定が可能な程度に狭める
  • 粒度|ざっくり大中小の3段階くらいで判断する
  • 時間軸|業界のスピード感に合わせて期間を設定する

ルールは大きく3つです。

事業単位|自社の位置決定が可能な程度に狭める

まず対象の事業単位を設定します。この事業単位はあまり大きすぎるものではなく、ある程度絞ったものにしましょう。例えば、エンジニアの派遣なら人材業ではなく、専門職派遣とするなどです。

時間軸|業界のスピード感に合わせて期間を設定する

次に時間軸です。時間軸は対象の業界のスピード感に合わせて設定しましょう。例えばWEBサービスなら1年、エネルギーインフラ業界なら5年など市場の移り変わりの速度に合わせて設定しましょう。

評価の粒度|ざっくり大中小の3段階くらいで判断する

評価は正確な数値で出せるわけではないので大まかに大中小の3段階くらいで良いでしょう。マイナス要素が1つと、プラス要素が1つあれば中程度、といった感じです。

項目例

ここでは5つのカテゴリに対してそれぞれ何を調査・検討すれば良いかの例を記載します。

こちらのリストは上から順番に理解が深まっていくように並べました。お使いの際は順番にお使い頂けると進めやすいかと思います。あくまで参考例ですので全てを必ず行う必要があるわけではありませんし、この項目にないものが必要な場合もあります。状況に合わせてお使いください。

買い手(顧客)の脅威

顧客(販売業者)まず顧客を定義します
顧客の数、規模次に顧客の規模や数を調査します
買い手の情報力(どこから知るか等)そして買い手がどこから、どんな情報を手に入れているかを明らかにします
顧客の購買力|資金力や資源の分配比率顧客がどの程度の資金を持っており、その中でどの程度対象の業界にお金を使っているかを明らかにします
買い手の購入単位と頻度、ボリューム顧客がどのくらいの頻度で何をいくらくらい購入するかを調査します
買い手の価格感応度顧客が値下げや値上げにどの程度反応するかを調べます(例えばバーゲン時の集客や原料の高騰による値上げでの顧客離れなど)
切り替えのコスト他社に切り替えるのにかかる金銭的なコストと時間的なコストを明らかにします
買い手とのパワーバランス顧客とのパワーバランスを明らかにし、交渉力を強める方法を検討します


売り手(供給者)の脅威

供給者まず供給者を定義します
供給品の価格供給品の価格を明らかにします
供給者の数供給業者の数と供給量を明らかにします
供給者の情報力売り手がどれくらい情報を持っているかそしてどうやって情報を手に入れているかを明らかにします
対象業界のコスト顧客への販売価格と仕入価格を明らかにします
切り替えコスト供給者(サプライヤー)をチェンジする際のコストを明らかにします(初期コストや情報共有のための時間的コストなど)
供給者の価格感応度供給者の値切り交渉に対する反応度合を明らかにします
供給者とのパワーバランス供給者との交渉力のパワーバランスを明らかにし、どのように交渉力を上げられるかを検討します

代替品(製品・サービスなど)の脅威

代替品代替品を定義します。固定概念に縛られず幅広く検討します。人からアイディアをもらうのもよいかもしれません
代替品の価格代替品の値段を調べます。この時、既存製品より価格が低い場合は脅威になりえます
代替品になりうるものの顧客現在代替品を使用・購入しているユーザー(顧客)を明らかにします
代替品顧客の嗜好性その代替品の顧客の嗜好性を明らかにします(他にどんなものを購入しているか、購買行動にどんな特徴があるかなど)
代替コスト切り替えにいくらかかるか明らかにします
代替品の脅威上記項目から代替品の特徴をまとめ、脅威となりうる可能性とその道筋を検討します

新規参入業者の脅威

新規参入業者新規参入者を定義します
新規参入者のブランド力・知名度どの程度知られているか、何がどの程度知られているかを明らかにします
新規参入業者のリソースどの程度の資金力と人的資源があるかを明らかにします。
新規参入業者の技術力新規参入業者の技術力やコア技術を明らかにします
流通経路新規参入する場合の生産ルートと集客~購買ルートを検討します
既存業者の妨害既存企業の妨害があるか、もし行う場合どういったことが考えられるかを検討します
政府や協会などの障壁公的機関が新規参入を阻んでいるか推進しているかを調査します(例えば医療なら許認可で参入の障壁が高いです)
新規参入業者の脅威新規参入業者がどんな脅威を持っているか、新規参入業者に対する対応策を検討します

既存競合他社の脅威

競争企業の数まず業界規模を明らかにします
業界の成長力次に市場成長率を調査します
撤退障壁撤退するのにかかるコストを明らかにします
競争企業の多様性どういった差別化を図っているかを検討します
業界内の敵対関係業界内の顧客の取り合いや対抗施策を調査します
情報の複雑性および非対称性業界内で持っている情報に偏りがあるか、その理由を考察する
集客・広報集客や広報の手段とその費用を調査する

手順

最後に実際に進めていく場合の手順を明らかにします。ここでは6つのステップで説明しています。ファイブフォースの中身を完璧に理解していても、それを使いこなすためには、前後の準備や作業が大切になります(自分はよくここがおろそかになり、失敗を繰り返していました)。最後にこちらに目を通していただき、せっかくつぎ込んだ分析結果を良い成果に変える手助けになれば嬉しいです。

  1. 分析のゴールを定義する
  2. 分析のアウトプットを定義する
  3. 対象業界と期間を定義する
  4. ファイブフォース分析を行う
  5. それぞれ5つのカテゴリに対する結論と対策を明らかにする
  6. アウトプット資料にまとめる

  1. 分析のゴールを定義する

    まずこの分析の目的とゴールを設定します。誰に 何を どうさせたら 良いのかを考えましょう。ゴール設定を先に行うことで実際の調査の質が上がります。例えば直属の上司に説明する場合はかなり細かい情報も記載して、検討してもらうことが日鬱用かもしれませんし、お客様の重役への説明の場合は簡潔に要点に絞る必要があるでしょう。調べる内容や時間配分が明確になるので、必ず最初に行いましょう。

  2. 分析のアウトプットを定義する

    次にアウトプットのフォーマットを定義します。1. のゴールをさらに詳細に落としていきます。ワードファイルならば段落構成や内容の方向性(どんなことを書くかをざっくりと説明)、パワポならスライドタイトルと目次を先に決めてしまいましょう。もちろん後から修正を重ねていくのですが、最初にあるのとないのではその後の作業の質と効率が変わってきます。

    ようやく次項からファイブフォースの序章を開始します。もしかすると想像していたより準備(上記1.と2.)に時間を使うと思われた方もいるかもしれません。しかし、実際にやってみると体感してもらえるかとおもいますが、成果がまったく変わってきます。是非、色々なパターンで試して見てください。

  3. 対象業界と期間を定義する

    ここで業界と期間を定義します。特に、業界の定義があいまいになるとその後の調査がしにくくなります。なるべく詳細に記述しておくとよいでしょう(範囲を絞るわけではなく、その業界が何なのかを詳細に記述しておくという意味)。もちろん調べていく中で定義の修正が発生する場合もあるかと思いますが、気にせずどんどん修正していきましょう。
  4. ファイブフォース分析を行う

    前章まで説明してきたファイブフォース分析を行います。項目として細かく分けていますが、あの項目を調査・考察したうえで、最終的に、5つのカテゴリの結論を簡潔に記載しましょう。もし、簡潔にならない場合は、まだ調査か思考が足りていないと思われるので、きつい部分はあると思いますが頑張りどころです。
  5. それぞれ5つのカテゴリに対する結論と導き出した自社の方向性を明らかにする

    4.で明らかにした分析結果を踏まえて自社の方向性を検討していきます。実際にはこの4.と5.は何度か往復しながら質を高めていくことになるかと思います。5.のタイミングでは誰かに説明してみてその反応や自分の説明が納得感があるかを確かめてみるのも良いかもしれません。
  6. アウトプット資料にまとめる

    2.で作成したアウトプットに落とし込んでいきます。1.~5.がしっかりできていればここはすんなりいくこともあるかもしれません(私はそうでした)。またアウトプット資料にまとめる際は何らかの形でのプレゼンテーション(ミーティングという形かもしれませんし、会話の中かもしれません)が発生します。ですので、資料と一緒にプレゼンについてもシュミレーションしておきましょう。

まとめ&テンプレート

いかがでしたでしょうか。今回はファイブフォース分析をなるべく初心者でもすぐに使えるように細かくステップを説明していきました。また実際には他のフレームワークと合わせて複合的な分析を行っていく場合がほとんどです。他のフレームワークについても以下で説明していますので、よければ一緒にご覧ください。

最後に本記事の内容を元にしたテンプレートを以下のURLからダウンロード出来ます。今後ももっと多くの方のお役に立てるようなテンプレートにしていきたいと考えておりますので、もしご使用頂けた場合には是非ご感想やご意見を頂けますと嬉しい限りです^^

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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